- 1人あたりの水準比較
続いて、雇用者1人あたり付加価値についても国際比較してみましょう。
まずは為替レート換算値の比較です。
図2が雇用者1人あたり付加価値について、為替レート換算した推移です。
日本(青)は1990年代に高い水準に達した後は、横ばい傾向が続いていて近年ではOECDの平均値を下回ります。
ドイツやフランス、イギリスなどとも連動したような推移ではありますが、一回り水準が小さいようです。アメリカとは大きな差がついていますね。
日本は2022年は円安となったため、2022年以降は更に水準が下がるものと思われます。
図3が2021年の水準比較です。
日本は74,631ドルで、OECD31か国中21位、G7中最下位でOECD平均値を1割ほど下回ります。
雇用者に限定した生産性でも、日本は先進国の中では平均値を下回る事になります。
- 購買力平価換算値での比較
続いて、購買力平価によるドル換算値の比較もしてみましょう。
購買力平価での換算は、物価をアメリカ並みに揃え、数量的な比較をすることになります。
購買力平価は、「通貨コンバータであり空間的価格デフレータ」であると言われます。
図4が雇用者1人あたり付加価値の購買力平価換算による推移です。
日本(青)は2000年頃まではイギリスと同程度でOECD平均値をやや上回っていましたが、その後は少しずつ差が開いていき、近年では横ばい傾向で、他の主要先進国と大きな開きがあるようです。
OECD平均値からもかなり劣後している状況ですね。
購買力平価で換算すると、多くの経済指標で1990年代の高い水準が均され、近年では停滞傾向のグラフとなります。
図5が購買力平価換算の2021年の比較です。
購買力平価で換算すると、近年では為替レート換算よりも日本の順位が更に下がる特徴があります。
日本は80,265ドルで、OECD31か国中23位、G7中最下位で、OECDの平均値を2割近く下回ります。イスラエル、スペイン以外にも、エストニアやチェコ、ポーランドなど東欧諸国よりも低い水準となっています。
また、イタリアの水準がかなり高く、逆にイギリス、ドイツの水準がやや低いのも特徴的ですね。イタリアは個人事業主の多い国という特徴がありますので、その影響を除外した雇用者の水準で見るとここまで高いのは大変興味深いです。
ビジネス
2025/01/08
雇用者の労働生産性:雇用者1人あたり付加価値
『アゴラ 言論プラットフォーム』より
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