ウクライナのゼレンスキー大統領は先月25日の記者会見で、ロシア軍の侵攻で過去2年間、約3万1000人のウクライナ兵が死亡したと発表した。米国側は昨年8月の段階で、ウクライナ軍に約7万人、ロシア軍に約12万人の兵士が死亡したと発表していた。
パレスチナ自治区ガザの保健当局が2月29日発表したところによると、パレスチナ自治区ガザを実効支配しているイスラム過激派ハマスが昨年10月7日、イスラエルに侵攻し、イスラエル軍とハマスの戦闘が勃発した以降、ガザ区で3万人のパレスチナ人が死亡したという。
上記の2件のニュースは偶然にも死者数が3万人だから列記したのではない。繰り返すが、ロシアのプーチン大統領が2022年2月24日、軍をウクライナに侵攻させて以来、ウクライナ側に3万人以上の兵士が亡くなり、ガザ紛争ではハマス壊滅に乗り出した出したイスラエル軍の攻撃で3万人を超えるパレスチナ人が亡くなったという死者の統計を紹介したのだ。
前者はウクライナ兵の死者数だけであり、実数はそれをはるかに超えている可能性が高い。民間人の犠牲者数を計算に入れれば、死者数はひょっとしたら2倍以上かもしれない。ガザ紛争のパレスチナ人死者数も同様で、実数はもっと多いだろう。いずれにしても、3万人の死者数だけでも如何に多いか。そして亡くなった兵士、その家族関係者にとっては取り返しのつかない痛みを与えてきた悲劇だ。同じことがガザ区のパレスチナ人の犠牲者数にもいえる。多くの女性、子供たちがその死者の中に含まれている。
「いかに必要であろうと、いかに正当化できようとも、戦争が犯罪だということを忘れてはいけない」と語った米小説家ヘミングウェイの言葉を思い出す一方、ソ連の独裁者スターリンの「1人の人間の死は悲劇だが、数百万の人間の死は統計上の数字でしかない」という言葉を苦々しい思いで再確認するのだ。