バルミューダフォンもう一つの道
ではバルミューダらしい携帯デバイスとはどのようなものか?
あくまで私見だが、「携帯電話(いわゆるガラホ)」のようなものでも良かったのではないかと思う。「味が落ちるから」という理由で保温機能を省いた炊飯器を売っているバルミューダだ。スマートフォンの機能を絞り込んだ携帯電話を扱っても違和感はない。
寺尾社長はバルミューダフォン発表会見で、「スマホというあまりにも便利なものにくぎ付けになりすぎている。私も気付けばWebサイトを無駄に見ていた」と述べた。バルミューダフォンによる「デジタルデトックス(※)」効果についての発言だった。
※スマートフォン等デジタルデバイスから距離を置きストレスを軽減すること
デジタルデトックスを謳う携帯電話は少なくない。たとえば、スイスに本社を置くPunkt. (プンクト) の開発した携帯電話“MP02”だ。
“MP02”は、androidOSを採用した携帯電話(ガラホ)である。機能は、通話・メールなど必要最低限に留め、サイズはバルミューダフォンより一回り小さい。ジャスパー・モリソン氏(※1)によるデザインは、シンプルそのもの。
「”デジタルデトックス”を実現したいミニマリストのためのデジタルデバイス」
としており、ある意味「バルミューダ」的ともいえる。
最先端の製品を大手と組んでゼロから製造するのではなく、「枯れた技術」の製品で、自社の理想とするフォルム・質感などを体現する。そういったやり方もあったはず。その方がバルミューダブランドの価値向上に寄与したのではないか。
成功を急ぎ、ブランド価値を低下させてしまってはもったいない。現在手がけている新事業「風力発電機開発」も、急いでいる感がある。
今は、自社の原点に立ち返る時ではないだろうか。
【注釈】 ※1 ジャスパー・モリソン ロンドン出身のプロダクトデザイナー。日本、ロンドン、パリを主な活動拠点とする。無印良品の時計等のデザインも手掛ける
【参考】 バルミューダ決算資料
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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