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政治家言葉を耳にすることがあります。よく使われるのが「遺憾の意」です。「心残りであること」「残念に思うこと」が本来の意味です。なぜ政治家言葉を使いたがるのでしょうか、また政治家言葉はなぜわかりにくいのでしょうか。

政治状況を端的にあらわす遺憾

「遺憾」は政治家特有の表現として認識している人も多いでしょう。「遺憾」は政治家の決まり文句に近く、誰もが使用しています。「そのように言っていれば間違いない」という趣旨で使われているようにも思います。

「遺憾」の言葉は真意を隠しているように相手に伝わります。そのため一般的には好感をもたれません。わかりやすい言葉に置き換えることも必要ではないかと思われます。

「こうした事態を引き起こしたことは極めて遺憾」「国民の皆様にご迷惑をおかけしたことは甚だ遺憾」という言葉を耳にすることがあります。まるでテンプレートに貼り付けた定型文のようにも聞こえます。

「遺憾」は国民(有権者)に対して「残念に思うこと」を表明していますが、事態を引き起こしたことに対する責任は曖昧になったままです。「遺憾」という言葉は非常に使い勝手のいい便利な言葉で、政治家が責任を放棄しているように見えるのは私だけでしょうか。

「遺憾」以外にも責任を曖昧にする言葉にはある特徴があります。

例:なんらかの疑惑がスクープされ追及を受けている。

関係各所と検討し見直して参りたいと考えております 本件につきましては前向きに検討して参ります ご批判を踏まえ、一旦立ち止まります ご意見は真摯に受け止めたいと思います 批判につきましては厳粛に受け止めます

1~5に関しては、国会答弁などでもおなじみです。すべてゼロ回答で結局は何もしない場合に便利です。使用される局面は「ほとぼりが冷めるのを待つ」状況です。

政治の場面では許されるかもしれませんが、取引先や上司に使ったら大変なことになりそうです。勇気のある方は、是非、上司やお客様に使用してみてください。