ベネフィットの代表は企業年金と健康保険だが、新しい働き方の普及のもとでは、在宅勤務、ペット連れの勤務、子供の保育施設など、多種多様なものを考えることができる。働く人の立場で様々な自由と利便性を提供することにより、職務に適した人材を引付け、合理的なコンペンセーションとあいまって、働く人の就労意識を高めて生産性の向上を図ることにこそ、企業の人材戦略はあるべきなのである。

組織の期待と働く人の意思が一致したときに生産性が最大化するのだから、生産性改革の最上位の課題として、生きがいと働きがいとの一致という理想の追求があるわけだが、従来は組織の期待の方向から解が模索されたのに対して、これからは働く人の意思の方向から問題への接近がなされるのである。いうまでもなく、それが働く人を主語にしている働き方改革の本質である。

では、どのようにして働く人は働く意味を見出すのか。組織として、人は自分のために働くものであり、組織のために働くものではないという事実を正面から認め、働く人に対する期待を縮小、もしくは放棄するとき、人は自分自身の力で働く意味を見出すと考えるほかないであろう。

森本 紀行 HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長 HC公式ウェブサイト:fromHC twitter:nmorimoto_HC facebook:森本 紀行

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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