新型コロナの教訓

法律は、税を課すなど国民生活に大きな影響があるので、行政が決めてはならず、国民から選挙で選ばれた立法府(国会)で決める必要がある。

これを「法律による行政の原理」と呼ぶ。

地方議会でも同じで、(知事や区長市長でなく)各議会が条例を定める。

しかし特に緊急を要する場合には、議会の承認を得ずに首長が決定出来る例外措置(専決処分)が定められている(地方自治法179条)。

これによって東京都は新型コロナ対策で15回の専決処分を行った。(通常議決は31回だった。)

ちなみに専決処分を行った際には、次に開催される議会でその内容の承認を得る必要がある。

ところで「国会は国の唯一の立法機関(憲法41条)」と定められており、例外規定はない。

仮に衆院が解散して衆院議員がひとりもいない状況で、新型コロナのような国民全体に外出自粛をお願いするような状況になれば、参院を開くことも困難だろう。

そうした場合に備えて憲法を改正して、地方自治体での専決処分と同じように、政府が法律と同じ効果を持つ緊急政令を定められるようにしておく必要がある。(その場合には当然、次に開催される国会でその内容の承認を得る必要があるようにすべきだ。)

東日本大震災と新型コロナの教訓から、緊急事態条項に関する憲法改正を急ぐ必要があると強く考える。

早坂 義弘(はやさか・よしひろ)東京都議会議員(杉並区、自民党) 1968年東京都杉並区生まれ。立教大学法学部卒業、明治大学公共政策大学院修了。2005年都議選に出馬し、初当選(現在5期目)。令和防災研究所理事、日本AED財団常務理事、防災士研修センター(初代)代表取締役。ニックネームは「ミスター防災」。公式サイト

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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