2024年が始まった。ロシアとウクライナ戦争は長期化し、イスラエル・ガザ紛争も依然、停戦の見通しがない。イエメンの親イラン武装組織フーシ派の紅海での船舶攻撃は世界経済に影響を与え、イランとパキスタンの間で険悪な動きが見え出した。北朝鮮の独裁者金正恩総書記は核戦争も辞さない強硬姿勢を見せ、韓国を「主敵」として軍事的に威嚇してきた。台湾総統選挙で与党・民主進歩党(民進党)の頼清徳氏が当選したことを受け、中国共産党政権の台湾の武力統一への動きが一層懸念されてきた。世界の最大軍事国・米国は今年11月、大統領選挙を控え、世界で新たな戦争や台湾海峡での有事の際、それに対応できる余裕があるかは不確かだ、等々、世界各地から発信される戦争・紛争情報が日々、氾濫している。このような情報環境圏に生きている私たちはおのずと憂鬱になってしまう。ベネディクト16世が警告していたように、最悪のケースは人類がニヒリストで溢れてしまうのではないか。

しかし、現在の世界情勢は人類の脳細胞が3%しか使用されていない結果とすれば、人類にはまだ希望がある。人類には依然97%の“金鉱”が埋蔵しているからだ。ただし、人類は楽観的になるにはまだ早すぎるだろう。その埋蔵した97%の脳細胞を如何に覚醒させ、実際の人類の発展に役立たせるか、という課題があるからだ。

シンプルに表現すれば、人間は程度の差こそあれ良い思い(善)と悪い思い(悪)という矛盾した性向を抱えている。その人間が作る創造物はそれを反映して、同じようにデュアル・ユース的存在となる。AIの未来も同様だろう。「善いAI」と「悪いAI」の登場だ。人間の矛盾する性向がどこから起因するか、その原因について解明しない限り、人類の発展はあり得ないし、戦争・紛争も解決できない。残された97%の可能性を駆使して、未解決問題の解明に全力を投入しなければならない。

ちなみに、宇宙物理学者は「宇宙は暗黒物質で覆われている。宇宙の起源についてわれわれはこれまで数%しか分かっていない」と語っている。

暗黒物質の存在を示唆すると言われるハッブル宇宙望遠鏡からの画像 NASA公式サイトより(編集部)

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2024年1月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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