先日、こんな記事が話題となりました。

【参考リンク】スタートアップ、平均年収700万円超え 上場企業上回る 日経新聞

日本では長らく「大企業に就職するのが正解」といった考えが主流でしたから、隔世の感がありますね。

でも冷静にひも解いていくと、実はスタートアップの方が高賃金になって当然なんですね。

大手にはおいそれとお給料払えないしがらみが色々と存在する一方、スタートアップにはそういうしがらみがありませんから。

大手が賃金を上げられないしがらみとは何でしょうか。そしてこのトレンドは続くんでしょうか。良い機会なのでまとめておきましょう。

これから社会に出る人はもちろん、キャリア後半戦に臨む人たちにもキャリアと賃金を考える良いきっかけになるはずです。

歴史が長く組合のある会社ほど賃金が上がらないワケ

大手とスタートアップで給料に差が出やすい構造的な事情は、主に以下の2点です。

・そもそも採用対象が違うから

前回述べたように、大手企業はポテンシャル採用で採用した人材をゼロから自社で育成するのが今でも主流です。

当然ながら、社内には育成に大成した高度人材もいる一方、育成に失敗したダメ人材、採ったばかりの若手もいるわけです。当然ながら平均給与はとびぬけたものにはなりません。

一方、スタートアップはそもそも人を育てる余裕がないため、採用は即戦力重視の傾向が強く、中途採用がメインです。

新卒採用を手掛けているところも、多くは理工系の修士以上の専門職ですね。

そういう人材を採ろうとするなら最初からある程度の金額は出さないといけないわけです。

同じプロ野球チームでも、3軍まで抱えるチームと1軍だけのチームの年俸を比較するようなものですね。

・労組の有無

「どっちも同じ終身雇用のもとで回しているのに、なぜ大手の方が賃金が上がりにくいのか」という質問もたまにされますが、筆者は労組の存在が大きいと感じています。

スタートアップでは業績を理由とした賃下げは普通にありますし、会社によっては事実上の解雇に近い扱いをするところもあります。

そういう柔軟性があればこそ、入り口で高い報酬を提示できるわけですね。

日本の労働法制のもとで経営されていても、従業員を定年まで雇用することを前提に経営しているスタートアップを、筆者は一社も知りませんね。

一方、社内に従業員を代表するような労組がある会社ではそんなことはまず不可能です。

彼らは賃下げや解雇が行われないような水準を意識しつつ、その中で最大限の賃上げを(多くは今でも横並び一律で)要求します。

それも70歳まで雇ってもらうという条件つきで。

人材育成に失敗したダメ人材、仕事が無くなってぼーっとしてるだけの人たちも含めて、労組は交渉するわけです。

【ぼーっとしてる人の参考リンク】横浜市職員が業務用PCで「ソリティア」など64時間もゲーム 停職2カ月