本当の理由3:組織風土

住民や政治家からのプレッシャーなどが存在し、法的制約が多く、行政法に従って仕事をやるため自由度が民間と比較して少ないため、組織風土にもなかなか問題も多い。

トップは官僚出身か元国会議員やある程度知名度のあるタレント出身の知事が多く、マネジメントの専門家であることはあまりない。知事を支える官僚組織はそれなりに優秀で人間的にも素晴らしい人が多い印象もあるが、いわゆる「変わった」人は少ない。

彼ら・彼女らは組織で出世するため、上司の言うことをしっかり聞き、組織のルールや空気を守ることにたけていて、年功序列の日本的組織の特徴と官僚組織ゆえの特徴が顕著だ。組織風土はどういったものかというと・・・

トップの権限が強く、色々な意味で振り回されることもある 政策・施策・事務事業についての評価が組織にとって都合のよい形で「評価」されてしまい、見直しがされないことが多い、本来やるべき改革・改善が進まないことがある 組織において少し時代に遅れたルール、不分律がまだまだ存在し、力を持っている 行政法、国などの行政機関との関係性など様々な制約が多い 様々な場面で儀式や前例主義にこだわってしまいがち 有力者やお偉方へ配慮が優先し、効果的な事業ができにくい面もある 業務に手続きやルール通りにやる必要性が多く、創造性や自由なアイデアが発揮しにくい 本音の議論よりも建前の議論が横行しがち

こういった特徴があることも確かである。

別に批判しているわけではないが、ある意味、体感的なもの・筆者の研究結果と考えて欲しい。

だからこそ何をすべきか?!

筆者は、都道府県庁やそこで働く職員に対してめちゃめちゃリスペクトがある。社会的な仕事にかかわれる仕事、公共性が高い仕事と考えているし、しっかり円滑に安定的に業務執行をしているし、そこで成果は出ている。もっと都道府県民から感謝されるべきだとも思っている。

しかし、若者にとっては違うのかもしれない。都道府県庁でもし仕事や組織に自分が合わなかったら、向いていなかったら、退職することになる。若者はその転職のタイミングが遅ければ遅いほど、転職市場でかなり不利になることを理解しているのだろう。それなりの権力機関でもある行政の仕事内容を知れば知るほど、なかなか転職の際に「使えない」となるのも必要だろう。

文書や資料を完璧なレベルで作りあげること、誰もから批判されないよう空気を読み調整をすること、失敗に厳しいこと、挑戦を真の意味で奨励しないこと、過去や組織文化に疑問を持たせないこと、DXなど新しいイノベーションがやりにくいことなどを見ればそれはそうだろうと思ってしまう。

こうした厳しい状況だが、都道府県庁は組織や行政評価の徹底、仕事のやり方の見直し、エンゲージメントの向上など真の意味での「働き方改革」を地道にしていくべきだろう。ある意味「ピンチ」を「チャンス」に、都道府県庁の皆さんに期待したい。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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