なぜ彼らにこのような行動が出来たのか?
J&Jには、よく知られているのが「我が信条(Our Credo)」と言う、企業の価値基準を示した、いわゆる企業理念があった。
我が信条ができたのは1943年。
我が信条では以下のように、「全社員が担う四つの責任」を明記している。
我が信条「Our Credo」
全社員が担う四つの責任
①顧客・患者
高品質、適正な価格、注文への迅速な対応、取引先への適正な利益配分
②社員
個人の尊厳と価値、安心で公正な待遇、清潔・安全な職場環境
社員の家族に対する配慮、有能な人材の能力開発と平等な昇進機会
有能な管理職の任命
③地域社会
良き市民、有益な社会事業、福祉への貢献、租税の負担、環境/資源の保護
④株主
健全な利益を生む事業
新しいアイデアへの挑戦、研究や革新的な企画の開発
失敗への償いと逆境への備え。
我が信条の英文には、「must」という言葉が30回以上出てくる。must、must、must…。mustだらけの文章だ。
今回、小林製薬の記者会見を聞きながら、小林製薬の「信条」とは、「保身と儲け」と感じた。
小林製薬の主力商品に「ナイシトール」がある。
内容は「防風通聖散」と言う、漢方エキス製剤だ。
「防風通聖散」はポピュラーな漢方薬として、昔から市場にでている。
効能効果は、
「便秘を伴う肥満症に用いられる漢方薬です。お腹まわりに脂肪が多い、いわゆる「脂肪太り」の方に適しています。食事量が多いと、体内に熱がたまりやすくなります。その熱をうまく発散できないと、便秘やふきでものなどの原因になると言われています。防風通聖散は、体を温めて熱を発散し、エネルギー消費を高めて脂肪の分解や燃焼を促すことで、便秘をともなう肥満症やふきでものなどの症状を改善します」※津村ホームページより
「防風通聖散」自体は、日本薬局方で、処方が決定しており、各社は処方に従って、生薬からエキスを抽出して製剤化している。
しかし、生薬の量やエキスの成分は、日本薬局方の中で、かなり幅が広い。
例えば
漢方薬のパイオニアの小太郎漢方の防風通聖散は、生薬12.65gから抽出した、3.6gを含む
津村防風通聖散は、生薬13.15gから抽出した、エキス2.25g含む
それに対して小林製薬の防風通聖散(ナイシトール)は、生薬28gから抽出したエキス5gを含む
※いずれも各社ホームページより大人一日量
小林製薬の成分は、他社に比べると突出して多くの生薬成分を、含んでいることがわかる。
小林製薬は、「日本薬局方の最大の生薬量を配合!」と宣伝で謳っている。また、それだけ作用が強く出ます。と警告までしている。
勿論、日本薬局方に準じる限り違法ではない。
だが、使い方を誤ると、とんでもない副作用が出ることがある。
■
ともかく、紅麹は非常にデリケートで危険なものなので使いたくても使いにくく、小林製薬のようなところの製品なら、その危険なものをしっかりコントロールしているだろうと勘違いして各社使っていたわけである。
ところが、小林製薬はもともと薬問屋で、販売力はあってもそれほどの技術力が元々なく、コストを惜しんでいい加減な工程管理をしたから起きた可能性も高いと見られているわけだ。それを紅麹は危険でないとかいうのは非常に誤解を招き、公衆の安全にとっても疑問である。
発酵食品については、万能薬のように喧伝する人がいるが、効果は十分に検証されたものでなく、多分に都市伝説だと私はみている。
納豆など典型的だが、都道府県別の寿命をみても、京都や滋賀のように洋食化が進んで、肉、パン、バター、コーヒーなどの消費量が多いところほど長く、納豆などの消費量が多いところは短いところが多い。そもそも日本人の寿命は洋食化の進展とともに伸びてきたのだから。
私はサプリメントの販売を規制するのはあまり賛成できないが、宣伝文句については、かなり厳し目の規制をかけるべきだと思っている。とくに、薬と同じような効果があることを確信させるようなことは赦されるべきでない。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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