黒坂岳央です。
世の中には実年齢より老けて見える人、若く見える人がいる。これまでその因子は紫外線や食生活、運動習慣にあると広く受け入れられていた。しかし、意外な犯人を浮上させる論文が掲載された。端的にいえば、人生の出来事や結果を自分でコントロールしている実感の有無である。このことをControl beliefs(コントロール信念)と呼ぶ。
自分の人生を自分でコントロールできずストレス過多となれば「歳をとったな」という実感と「見た目の老化」の両方をもたらすというのだ。
人生を自分でコントロールする実感は幸福度に直結することは広く知られているが、見た目の老化にも影響するという話は知っておいて損はない。QOLを決定する非常に大きなファクターとなり得るだろう。
人は年齢をいくつも持っている人は社会的に共有される実年齢意外にいくつもの年齢を持つことで知られる。その1つが主観的加齢(Subjective age)である。「自分は◯歳だ」と考えるfelt age、見た目の年齢であるlook ageなどだ。40歳の人は必ずしも40歳の認識をされているわけではなく、見た目が非常に若々しかったり自身を30代という感覚を持っていれば、その分だけ社会的年齢とズレてしまうということがよくある。
興味深いことに、同論文によれば主観的年齢は日々よく動くということだ。他人から「年齢より年上に見える!」と言われれば軽い失望とともに主観年齢を上の年齢へと認識を変えるだろうし、その逆もありえる。そして主観年齢を先へ進める要素に件の人生のコントロール信念なのである。
この話を聞いて連想するのは、中年期まで働いた経験のないいわゆる子供部屋おじさんだ。たまに驚くほど若く見える人がいる。食生活や運動、紫外線など複数の要素の影響度を無視してはならないが、ことコントロール信念についていえばしっかり確保されているために、見た目と精神的若さを維持できている可能性はありえる。逆を言えば、そうでない環境に身を置けば老け込んでしまうということになる。