- 政治の現状と本当に取るべき方策
昨今の政界を見ると、保守を巡る議論や動きが喧しい。安倍さんを支えていた保守層が、リベラル化した自民党・岸田政権から離れているとか、それをつなぎとめるために、保守の新たなアイコンとも言うべき高市早苗経済安全保障担当大臣が新たな勉強会をはじめたとか、そうした動きは手ぬるいとばかりに、自民党とは別に、日本維新の会、参政党、日本保守党などの動きが盛んで支持を集めているとか、である。
私は、日本の国の保守を考えるのであれば、より正確には「(日本という存在をしっかり)保守するための改革」を考えるのであれば、まさに、上記のような、①負けや実力差を額面通りに受け止める合理的考えや勇気、②進んでいる海外から徹底して学ぶ謙虚な姿勢、③いずれは追いつき、追い越そうという根性、が必要になると思う。ちょっとした政治活動でどうこうなるものではない。
そして、ある意味で、このことの実現・道筋の担保は、どの政策実現よりも喫緊であろう。仮に何らかの政策の実現で、再び成長する、勢いのある日本というものが見えれば、財政再建にしても、少子化にしても、地域活性にしても、たちどころに良い方向性、出口が見えてくるはずである。
しかるに、こうした舵取りをするべき肝心の政治は、スキャンダルをめぐる攻防、細かな減税や増税をめぐる攻防、選挙を巡る攻防などに明け暮れている。私は逆説的であるが、政治主導の日本の競争力アップの改革を進めるには、政治ではなく社会運動的アプローチを取るべきではないかと思う。
この30年、国民が見て来たのは、日本新党ブーム、「自民党をぶっ壊す」との小泉ブーム、民主党の政権交代ブームなどの、約10年おきに繰り返される政治ブームであり、それらが真の改革ではなかったことは残念ながら明らかである。
昨今の日本維新の会の伸長にしても、各種新党の乱立にしても、また、政権取ゲームが始まったのかと、国民はどこか冷ややかだ。かつてのブームを知らない若年層には、こうした改革系の新党や政治というものの持つインパクトは或いは心地よく響く部分もあるのかもしれないが、大半は白けている。
逆説的な書き方にはなるが、政治を機能させて物事を実現するには、政治ではなく社会運動から始めるべき、というのが私の結論である。主張や中身は異なるが、先般亡くなった池田大作氏が行った「創価学会」という、ある種の思想信条を広める社会運動の延長線上に「公明党」という政党があり、そこが政治を担うというようなアプローチだ。共産主義革命を目指す社会運動の一助としての政党である共産党などもスキーム的には似たようなものかもしれない。
真の保守のため、真の政治のため、「何をするべきか」という社会運動を先行させ、そこが、期間限定でも、改革のために政治を担うような動きが(運動実現のための政党を作って政権を取る動きが)日本で実現できるか。それが、迂遠ではあるが、実は日本の再生への近道ではないかとも感じている。政治のセンターピンを取るために政党を作り、とにもかくにも政権を奪取する、という現状の白けた在り方からの脱却が求められている。
青山社中は、今月で13周年を迎えた。日本の活性化を標榜して会社を立ち上げ、悪戦苦闘しつつ、社員20名ほど(業務委託やインターンを含む)で日々頑張ってはいるが、残念ながら目標(日本の活性化)達成は未だ程遠い状態だ。
ただ、こうした活動には多くの理解を頂き始めており、売り上げや利益はともかく、構成員の人数規模から考えると、恐らく、日本有数と言って良いほど、政治の世界、官僚の世界、ビジネスの世界、ベンチャーコミュニティ、NPO等の非営利セクター、大学等の学校の世界、海外との接点など、極めて幅広いネットワークを築きあげて来た。カネ儲けは下手ながら、ヒト儲けでは大成功していると自負している。
13年と8カ月(14年弱)務めた経産省を離れて直後に青山社中を設立して13年が経過したが、間もなく、時間的には文字通り、「半官半民」の人生となる。こうした、①実力差を認め、②優れた海外に学び、③いずれは勝つ(次代に食い扶持を残す)根性、という機運醸成のため、これからも各事業を頑張り続けたい。一社だけでまず行う小さな社会運動である。
政治そのものに携わることは当面考えていないが、先述のとおり、「社会運動あっての政治」ということを意識していることから、こうしたアプローチ、気分を共有できる仲間と今後も繋がって行きたいと考えている。それが燎原の火のように広がって真の社会運動となるように。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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