バリュー投資は、価値と価格の差に着目したもので、価値の上昇を期待するものではない。しかし、投資対象の選択において、資産価値の上昇が見込まれること、即ち資産の現金創出能力が高まっていくと見込まれることは、極めて重要な判断基準である。投資の世界では、英語のグロースは価値の成長を意味していて、故に、投資とは、第三に、価値の成長、即ち現金創出能力の拡大を目的にするものとして、グロース投資なのである。
能動的に資産価値を上げることはバリューアップと呼ばれる。バリューアップは、主として、プライベートエクイティや不動産などのプライベートな投資の仕組みで行われている。バリューアップは投資対象への積極的関与によってしか実現できず、そのような働きかけは、プライベートな関係性においてのみ可能である、あるいは、プライベートな関係性において、より有効に機能するからである。上場株式投資におけるアクティビズムは、経営への積極的関与を掲げるもので、バリューアップを志向した投資手法である。こうして、投資とは、第四に、バリューアップになるわけである。
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森本 紀行
HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
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提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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