どちらの論が適切か?
具体的に条文等を確認しましょう。
立憲民主党の婚姻平等法案「父母」⇒「親」、「夫婦」⇒「婚姻の当事者」立憲民主党の婚姻平等法案(民法の一部を改正する法律案)を読むと、確かに「父母」が「親」に、「夫婦」が「婚姻の当事者」に、といった用語の変更が行われています。
他方で、「親1,親2」という表記が無いのは確かです。
それは当たり前で「親1、親2」というのは法案成立後の呼称の未来予測だからです。
言論テレビでの櫻井氏の発言では、きちんとこの立憲民主党の改正内容を踏まえていることがわかります。
例えば、男女が離婚して子供の親権を争ったとします。この時、親権や監護権はどちらの「親」が有するか?という話をする場合。
これまで『「父」と「母」のどちらが?』という話が、法令上の用語が「親」なので司法行政では「どちらの親が?」という話になります。識別のためには「親甲、親乙」「親A、親B」「親X、親Y」などと書かざるを得ません。これらと「親1」「親2」は同じことです。
したがって、この点に関して櫻井氏の本懐は正当な未来予測と言え、ただX(旧Twitter)での投稿はまるで法令に「親1,親2」と書いてあるように書かれているために若干の誤解が生じ得るものと言えます。
ところで、泉代表が反論すべきは、「性の区別を無くし」の方じゃないでしょうか?
それも相まって、櫻井氏の懸念に正当性がある環境になっている気がします。
「『父』や『母』が世の中で使えなくなる」は不当:法令上の特定場面での整合性を図る変更 「『父』や『母』が世の中で使えなくなる」 「性の区別を無くす」立憲民主党の婚姻平等法案に限っては、このような評価は当てはまりません。
なぜなら、「男女の区別」は婚姻平等法案を見ても消えてないからです。
例えば、民法の嫡出推定の規定や嫡出否認の訴えに関する規定には変更はありません。
民法
(嫡出の推定) 第七百七十二条 妻が婚姻中に懐胎した子は、当該婚姻における夫の子と推定する。女が婚姻前に懐胎した子であって、婚姻が成立した後に生まれたものも、同様とする。
(嫡出否認の訴え) 第七百七十五条 次の各号に掲げる否認権は、それぞれ当該各号に定める者に対する嫡出否認の訴えによって行う。 一 父の否認権 子又は親権を行う母 二 子の否認権 父 三 母の否認権 父 四 前夫の否認権 父及び子又は親権を行う母
つまり、同性の婚姻を法的に認めた場合に矛盾が生じない限りでの法令上の文言の変更であって、それ以外の法令上の事項にまで跨る話ではないし、ましてや法令の世界から離れて我々が日常生活で使う「男女・夫婦・父母」などの用語まで制限されるものではないということです。
それを言えば足りる話なのにそれをしない。