事業主負担を廃止すれば「総支給額」は15%増える

ところが厚労省は事業主負担を被保険者の負担に含めていないので、「ねんきん定期便」で表示される収益率は実際の2倍である。これはほとんど労働者が負担している保険料を半額に見せているからだ。

このような不当表示をやめ、事業主負担を廃止してはどうだろうか。料率は現行の社会保険料と同じで、事業主負担をすべて賃金として払い、そこから労働者が30%払うのだ。

これによって図1の給与明細で「総支給額」を一挙に15%増やすことができる。この場合だと約3万円増えて25万円になるが、たとえば3%ずつ5年かけてベースアップしてもいい。

ここから社会保険料と所得税・住民税を引くと手取りは同じだが、給与明細には40%以上の源泉徴収額が表示されるので、サラリーマンの納税者意識も高まるだろう。いま厚労省の検討している非正社員の厚生年金加入は、この逆に彼らの手取りを減らす結果に終わる。

ただこれだけでは「社会保障税」の重さが可視化されるだけで、手取りは増えない。次のステップは社会保険料と税を一元化し、現役世代の負担を減らして累進課税にすることだが、これについては別途考えよう。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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