では日本の場合です。民主党政権は酷かったです。あれは「近代日本暗黒史」で抹消すべき3年間でありました。何一つ褒めらえることはありません。その上、当地を含め、海外に若い人たちが「流出」、一種の海外脱出ブームが起きたのです。理由は日本の将来に全く期待が出来なくなったから、と。政権交代は国民/市民が夢と希望と期待をかけて選ぶのですが、その前の自民党政権運営があまりに不甲斐なく、消去法選択肢だったのでしょう。

安倍内閣は良かったとされます。「されます」と言うのは何処に視点を置くかです。経済、株価、物価、社会、教育、社会情勢、外交、社会保障…切り口はいくらでもあり、その違いを身近に感じる人にとっては良い政権と言うことになります。例えば今、LGBTの法案通過待ちですが、これもそこに一定のメリットがあればよい政権、統一教会問題も同様です。結局、政治は星の数ほどある案件のどこに焦点を当て、どれだけの人が便益を得るか、それが政治の評価につながると考えています。

しかし、支持率が高い政権が必ずしも後世に良い置き土産をくれたかどうかは別問題です。この辺りは判断が非常に難しいと思います。

さて、冒頭のタイとトルコの選挙の行方について一言ずつ、コメントを述べます。

まず、タイですが、野党が勝利してもたぶん、何も変わらないと思います。野党の思った通りにはならない同国の仕組みがあり、誰が首相になるか次第です。上院を軍が実質押さえているため、首相の氏名では今回選挙があった下院がよほどの得票ないし、絶対的な連立の確保が必要です。その中で注目は王国のタイをどう尊厳、維持するかです。現状、若者の支持率を背景にトップを走る前進党は王室に対する不敬罪見直しなど現代的思考を取り入れようとしていますが、これは国家レベルでは厳しいでしょう。とすれば結局クーデターを企て、失敗し、20年近く国外逃亡しているタクシン氏の扱い次第になっていくとみています。

トルコはエルドアン大統領が再当選する公算はあり得るとみています。理由は20年も大統領をやられると逆に国民はならされるのです。不満の声があってもそれを吸収することもできるのです。100点満点は無理ね、という具合です。とすると対抗馬はよほど力量がないと空気を変えられないのです。野党のクルチダルオール氏が20年ぶりにトップとなることを国民が望んでいるわけではなく、エルドアン氏が好きか、嫌いか、それだけの選挙なのです。クルチダルオール氏は私が知る限り、それほど政治手腕に長けた人ではなく、年齢もエルドアン氏より高齢です。

最後に、選挙で変わるか、最も注目されるのがロシアの大統領選です。現状24年3月に行われます。あと10か月です。戦況が膠着かロシア有利に展開すればプーチン氏の再選だろうと思いますが、厳しい状態や敗戦、あるいはプーチン氏が核兵器などに手を出した際には、先の想像は全く分かりません。同国国民もトルコ同様、プーチン氏に飼いならされたのです。中国も北朝鮮も同様。よって国民は変わることをどこまで望んでいるのか、案外、今までと同じことを望むのが人間の性なのかもしれません。

日本はだから「やっぱり自民党だよね」になるのです。「国民の性」なのです。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年5月15日の記事より転載させていただきました。