ドイツの歴史の中では、「2023年4月15日」は脱原発時代の開幕の日として記されている。今月15日、その1周年目を迎えたが、脱原発を主導したショルツ政権のハベック経済相(副首相兼任)が原子力発電所(原発)の廃止を決定するために恣意的に情報操作していた疑いが浮上し、ハベック経済相自身は26日午前、連邦議会の「気候保護とエネルギー問題に関する特別委員会」の会合に呼ばれ、野党側の質疑に答えなければならなくなった。

操業37年後、2021年末にオフラインとなったグローンデ原子力発電所 Wikipediaより

疑いは深刻だ。原子力安全保障を担当するロベルト・ハベック連邦経済相とシュテフィ・レムケ連邦環境相は、2022年春に内部専門家の意見を無視し、国民を欺いたというのだ。「緑の党」出身の両相は、計画された原子力の段階的な廃止をどんな状況でも推進することだったというのだ。この非難は、月刊誌「Cicero」(ベルリン)が内部文書にアクセスして報じたものだ。

それに対し、ドイツ連邦経済省は、同報道内容を「事実に反する」と否定し、「過程の説明は短縮され、文脈がない」と述べた。しかし、野党第一党の「キリスト教民主同盟」(CDU)の要請により、ハベック経済相は26日、連邦議会の特別会合に呼び出されたわけだ。

社会民主党(SPD)、「緑の党」、「自由民主党」(FDP)の3党から成るショルツ連立政権は2021年12月、政権発足直後、「再生可能なエネルギーからより多くのエネルギーを生成する国になる」と表明し、その課題を「巨大な使命」と呼んできた。

そして昨年4月15日を期して脱原発時代は始まったが、「Cicero」誌の調査によると、2022年にロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー危機が迫っているにもかかわらず、「緑の党」主導の経済省と環境省は操業中の最後の3基の原子力発電所の運転延長を妨害したというのだ。省内のエネルギー専門家たちは当時、まだ操業中の3基の原発の操業延長を「検討すべきオプション」として助言していたというのだ。