数回の異議申し立てをしたものの返信はなかった。いくつかのパターンで試行錯誤したもののスルーである。
さらに、永久凍結中、誕生日にログインしたら「お誕生日おめでとうございます」と表示される。たくさんの風船がお祝いしてくれたが、なにか悪い夢でも見ているようだった。
ネットにはない情報を試すその後、ネット情報にはないいくつかの手法を試した。すると、翌日には永久凍結が解除された。手続きを踏めば永久凍結も解除されるのだと理解した。
その後、永久凍結解除の一報をツイッターでポストし、ブログで報告したところ、多くの方から問い合わせがあった。しかし、私の手法は必ずしも一般的ではないことや、公開することでツイッターに迷惑をかける可能性もあったので非公開とした(一部の講演やセミナーにて、オフレコで話したことはある)。
今回、すでに1年以上が経過し影響も希少と判断したため公開するものとする。
まずは、前提として当時のツイッター社の混乱した状況を踏まえるべきだろう。一人のユーザーの申し立てに対処している時間はない。
だから、ここはよく考えて打診をするしかない。
私は学生の頃から、アスカ王国という障害者支援団体を運営している。メディア掲載実績も多い。永久凍結をされた12月のクリスマスには障害者と健常者が参加するクリスマス会を開催する予定だった。ボランティアの学生、障害者と健常者、役員や関係者が参加するのでそれなりの規模にはなる。
連絡方法は一元化してはいない。仕事の状況、障害の有無、程度に応じて使用できるツールが異なるからである。であるから、電話、メッセンジャー、ショートメール、eメール、ツイッターなど様々である。ツイッターは比較的利用しやすいツールとして多くの人が利用していた。
しかし、永久凍結後は、履歴や内容、連絡先にいたるまですべてが確認できなくなった。私が次にしたことは窮状を訴えることだった。
相互フォローになっていないから、イーロン・マスクにメールを送ることはできない。しかし、ポストに対してコメントを残すことはできる。さらに、イーロン・マスクが親しい人を特定し、数名のポストにコメントを残した。私は英語が苦手なので得意な人に翻訳してもらった。
どのように訴えたのか概ね次のような内容でコメントを残した。
私は日本の作家、コラムニストの尾藤克之です。40年近く障害者支援活動をおこなっています。今年は、障害者と健常者が参加するクリスマス会を開催予定です。しかし、ツイッターが永久凍結をされたことにより、参加者の連絡先、履歴、内容まで確認できません。
このままでは、子供たちが楽しみにしているクリスマス会を開催できません。つきましては、速やかに永久凍結が解除されることを希望します。
この文面で解除されない場合は、さらに踏み込んだ内容でコメントを残すつもりだったが、数時間後に永久凍結は解除された。永久凍結理由は明らかにされなかった。
欧米諸国では日本とは異なり、障害者に対して合理的な配慮の義務がある。合理的配慮とは、平等に働けるように行う調整や配慮のことである。当然ながら、差別的取扱いは禁忌される。
障害者の権利が尊重され支援が充実している国において、正当な理由なく、クリスマス会が開催されなくなったらちょっとした事件になるだろう。
つまり、私のアプローチは極めて適切だったということになる。
なお、私は表記について「障害者」を使用し、「障がい者」を使用しない。過去に、多くの障害者が権利を侵害されてきた歴史が存在する。それらの歴史について、言葉を平仮名にすることで本質が分かりにくくなる危険性があるため、「障がい者」を使用していないのである。
尾藤 克之(コラムニスト・著述家)
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2年振りに22冊目の本を出版しました。
「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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