3月10日、ローマ教皇がウクライナに対して「白旗掲げる勇気を」と発言した件について、各社が一斉に報道しました。
以下に三例ほど示します。
ローマ教皇、ウクライナに「白旗揚げる勇気必要」と発言…バチカン「降伏ではなく停戦示す」と釈明 – 読売新聞 ローマ教皇「白旗揚げる勇気を」 ウクライナとロシアに交渉求める – 時事通信 ローマ教皇フランシスコ「白旗揚げる勇気を」 ウクライナに停戦交渉促す ゼレンスキー大統領は否定的 – 産経新聞各社の記事のタイトルだけ読むと、まるでローマ教皇が戦況はロシア軍優勢のままウクライナは敗北すると判断したことから、ウクライナにこれ以上の犠牲を防ぐために降伏をするしかないのだと呼びかけているような印象を持ちます。
しかしこれはミスリードだと私は考えます。
産経新聞の記事にあるように、今回のローマ教皇の発言は、9日公開のスイスメディアのインタビューの一部です。
インタビューのより詳細な内容はこちらで読むことができます。「白旗」について言及している部分をDeepL翻訳にかけて引用します。
In Ucraina c’è chi chiede il coraggio della resa, della bandiera bianca. Ma altri dicono che così si legittimerebbe il più forte. Cosa pensa? (ウクライナでは、降伏の勇気と白旗を求める人々がいる。ウクライナでは、降伏する勇気、白旗を掲げる勇気を求める人々がいます。あなたはどう思いますか?)
“È un’interpretazione. Ma credo che è più forte chi vede la situazione, chi pensa al popolo, chi ha il coraggio della bandiera bianca, di negoziare. E oggi si può negoziare con l’aiuto delle potenze internazionali. La parola negoziare è una parola coraggiosa. Quando vedi che sei sconfitto, che le cose non vanno, occorre avere il coraggio di negoziare. Hai vergogna, ma con quante morti finirà? Negoziare in tempo, cercare qualche paese che faccia da mediatore. Oggi, per esempio nella guerra in Ucraina, ci sono tanti che vogliono fare da mediatore. La Turchia, si è offerta per questo. E altri. Non abbiate vergogna di negoziare prima che la cosa sia peggiore”. (「それは一つの解釈です。しかし、私は、状況を見て、国民のことを考え、白旗を揚げる勇気を持ち、交渉する方が強いと思います。そして今日、あなたは国際的な大国の助けを借りて交渉することができる。交渉という言葉は勇敢な言葉だ。自分たちが敗北し、物事がうまくいかないとわかったとき、交渉する勇気を持たなければならない。あなたは恥じているが、何人の死者を出すことになるのか。そのうちに交渉し、仲介してくれる国を探すのだ。今日、例えばウクライナの戦争では、仲介を望む国がたくさんある。トルコはそのために自国を提供している。他にもある。事態が悪化する前に交渉することを恥じる必要はない」)