私が秘書の時代、ボスのお供でプライベートジェットで日本からシアトルのホテル会社の取締役会に毎月のように通っていました。飛行機はシアトルタコマ空港ではなく、ダウンタウンに近いボーイング フィールドに降ります。降りると入国審査官が待ち構えるようにして機内に入り、パスポートのチェックをしてそれで終わり。ものの1分です。クルマがタラップのところに横付けなのでそれに乗るのであっという間に会社に行けるのです。(但し、正直に言えば民間機の方が時間が短くて済みます。理由はP-JETは航行スピードが遅く、航続距離もはるかに短く給油が必要だから。)

では富の形成を考えてみましょう。富は増え続けるものという原点に立つと投資したマネーは増え続けるという話になります。なぜ増えるのか、と言えば単純に考えると企業が毎年儲けたお金の一部を再投資するからです。アメリカの企業の成長率が高いのは金融機関や投資銀行、エンジェル投資家など外部からの資金を活用することでレバレッジが効くからです。もちろん投資に失敗する会社もありますし、成長できない会社もあります。が、代表的企業はM&Aを含め、他社のおいしいところを自分に取り込む余力と能力があるのです。これが最大のポイントです。

日本企業が30年間成長しなかった一つの理由は企業が銀行から資金を借りず、自前でちまちまとビジネスをしたからです。そして健全、安全経営が良しとされたのです。もちろん、バブル崩壊で銀行と企業の関係が歪んだこともあるでしょう。しかしユダヤの考え方は「銀行からお金を借りられたのかね、おめでとう。君にも信用がついたのだね」なのです。つまり借りてなんぼなのです。このレバレッジがアメリカの企業では上手に展開できるのです。

失敗しない投資方法と言ったらあとでとんでもない問題になりそうですが、理論的に失敗リスクが低い方法が一つあります。それはアメリカのS&Pでもダウでもナスダックでもよいので株価指数への投資をするということです。個別銘柄ではなく、それらをまとめた指数です。理由はザルの中にたくさんある企業の6-8割がまともに儲けてくれたら株価指数は上がるのです。事実、過去何十年かの統計で株価チャート上、株価指数が下げている局面は時間軸でみると10-20%程度なのです。あとは上げ局面。つまり指数売買は実にうまく機能する資本主義の原点であるともいえるのです。

これと同様なのが住宅投資です。よく北米は住宅バブルだ、と言いますが、人口が増えているわけで住宅の需要は常に増えています。建築資材や人件費の上昇もありますが、常に住宅に需要があるということは土地の価値も上昇し続けるのです。更には規制当局が小難しいルールを作り、建築を複雑にします。建築許可にかかる申請料も高層住宅なら億円単位です。これらが組み合わさるとどうしても住宅価格は上がらざるを得ません。そして上記の株価の指数同様、何十年かの長期で見ると住宅価格の指標も下げた期間は2割程度、あとは上げているのです。平たく言えば勝率8割です。

日本でなぜ住宅価格が上がらないか、これは言うまでもありません。人口が減っており、富裕層の移民が来ないことと日本人は住宅の住み替えという発想が極めて少ないからです。「終の棲家」と言うでしょう。しかし、大都市では人口集中が加速度的に進み需要があり、投資家もうごめく為、東京のマンションは史上最高価格になるのです。東京が遷都でもしない限り、この傾向は続くわけで北米のように勝率8割とまではいかないかもしれませんが、そこそこの勝率になるのです。

私は知っている人に良く言うことがあります。「お金に働いてもらいなさい」と。24時間働いて勝手に増やしてくれるのです。銀行預金は約束手形のようなもので手形サイト1年ものにわずかながら利息をつけてお返します、なのです。考え方の基本が全然違います。住宅投資もそうで、自分が億ションに住むよりその半額の家にしてもう一つ買ってそこを貸すことでお金を生んだ方が良いのです。カナダの戸建てでは地下室や余っている部屋を学生などに貸している人は結構多くみられます。中には4-5人にタコ部屋のようにして一人8万円ぐらい課して稼ぎまくっている人もいます。

今、日本は富を増やすチャンスにあるかもしれません。自分の贅沢よりまずは増やすことを考えてみるのも一手だと思います。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年2月4日の記事より転載させていただきました。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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