黒坂岳央です。

起業して経営者や投資家とコミュニケーションを取るようになり、大きな成果を出す人に見られる特徴があると感じるようになった。それは例外なく「常に身軽」ということだ。

身軽さは「フットワークが軽い」という表現をすることもあるのだが、「やるべきタスク」が極端に少なく、「やりたいタスク」「自己実現につながるタスク」しかやっていない。話をしてみたいビジネスマンを見つけたら、その場でシンガポール行きのチケットを取ってすぐに出発する、という具合である(実例)。

自分自身、起業直後は毎日駆け回っていたが最近は落ち着いた生活を送っており、基本的に身軽な状態を維持している。不思議なことにギッシリと忙しくタスクを詰め込んでいた時期より、圧倒的に様々なチャンスやアイデアが降臨することが増えた。ミニマリストが流行ったのも、もっと身軽になろうという啓蒙が重荷に疲れる現代人に刺さったからだろう。

今回は「心の重荷を捨てて常に身軽でいることのメリット」について独断と偏見でお届けしたい。

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メリット1:集中力

昨今、あちこちで集中力の重要性が説かれるようになった。一昔前は、膨大なスモールタスクをパラレルで効率よくこなしていく技みたいなのが受けたが、最近はその逆の風潮だ。スモールタスクは外注やAIによる自動化も増えたことで、より高度で専門性の高いビッグタスクを集中してこなす付加価値の高い仕事が求められるようになったのだ。

集中力は文字通り「力」なので、一点に力のすべてを集中する必要がある。人間関係の悩みや将来不安、雑多なタスクを多く抱えるとその1つ1つにマインドシェアが取られてしまい、大きな力を出すことができなくなる。

だが、身軽になって本来やりたいことではないタスクに力を持っていかれないようになれば、本来攻略するべき重要度の高いタスクに全エネルギーを注ぎ込むことができる。米国大手ITテックのCEOがみな、シンプルな服装で朝から服を選択することに意志力(will power)を使うことを節約するという有名な話も、より重要なタスクに集中力を使うためである。