後期高齢者に同様の傾向がみられるとすると、医療費18.4兆円が20%減ると14.7兆円。このうち窓口負担が3兆円になると、保険医療費は11.7兆円。これは現在の16.4兆円より4.7兆円少ない。
この他に前期高齢者(2割負担)にも3.6兆円が拠出されているので、これも3割に統一すると、保険医療費は少なくとも5兆円は削減できるだろう。
自己負担が増えても健康にはほとんど影響がない自己負担増で健康がそこなわれるという批判もあるが、これについても2008年から行なわれているオレゴン医療保険実験では、無保険者とメディケイド(医療保険)の加入者を比較し、次の図のようにほとんど差がなかった。
オレゴン医療保険実験の結果
高度医療については高額療養費制度があるので、一般加入者でも月5万7600円、住民税非課税世帯(後期高齢者の多くはここに含まれる)は月2万4600円が負担の上限である。
3割負担にすれば現役世代の手取りが増える以上はきわめて大ざっぱな計算だが、すべての保険診療の窓口負担を3割に統一すると、需要抑制効果を含めて保険医療費は約5兆円減り、現役世代からの支援金6.9兆円を2兆円程度まで圧縮できる。これは国債で穴埋めし、時間をかけて給付を削減すればいい。
これによって健保組合の健康保険料は半分に減り、サラリーマンの手取りは5%ぐらい増えるだろう。現役世代の所得を増やすことがベストの少子化対策である。
これ以上、健康保険料の不公平が拡大すると、保険医療が崩壊する。是正すべき問題はたくさんあるが、まずすべての被保険者を3割負担にし、フェアな制度にすることが第一歩である。これは厚労省令の改正と閣議決定だけででき、国会審議さえ必要ない。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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