日本は相も変わらず、国際的な情勢に無関心である。おおよそ80年前に焦土と化した過去を忘れ、ウクライナ問題などもはや忘れ去られている。国民や領土を守るための基本事項、たとえば、実験動物、とくにサルの確保には何ら手を打っていない。

ニホンザル(イメージ 編集部)Thirawatana Phaisalratana/iStock

11月16日のNature誌のNews欄に、「How wild monkeys ‘laundered’ for science could undermine research」という論文が掲載されている。マネーロンダリングは、違法手段で稼いだ金をきれいなお金に換えて使うことを指す。先日見たアメリカのドラマでは、ギャングが違法に得た金を、弱みを握った高齢者に渡し、カジノで負けさせて、カジノからの真っ当な収入に見せかけようとした場面があった。この論文では、本来捕獲してはいけない野生猿を捕まえて、実験用に飼育されたサルと偽って輸出をしていたために医学研究にいろいろな問題が生じていることを報告したものだ。

まずは、輸入業者から20頭のサルを輸入したが、1頭が結核菌に感染していたことが発覚し、すべてが利用できなくなった研究者の訴えから始まる。コロナ感染症流行前は1頭7500米ドルであったサルが、55000ドルに急騰している。何と7倍以上だ。円安を考慮すると日本円では約10倍の1頭約800万になっている。上記の研究者のように20頭利用しようとするとサルの購入価格だけでも1億5000万円も必要となる。