■気づかぬうちに「運び屋」にされるケースも…

羽田税関で発見された拳銃、隠し場所にゾッとした… 「映画の世界かよ」とネット民驚愕
(画像=『Sirabee』より引用)

「安全・安心な社会の実現」「適正かつ公平な関税等の徴収」「貿易円滑化の推進」という3つの使命を掲げ、迅速で円滑な通関と同時に、厳格な密輸取り締まりに、文字通り24時間365日取り組んでいるのが、税関という行政機関。

密輸に関しては、今回例に挙がった不正薬物や銃器のほか、爆発物や火薬類、化学剤などのテロ関連物資、金地金(きんじがね)、知的財産権を侵害する物品などの不正事犯の取り締まりを行なっているのだ。

今回の取材に際し、東京税関の担当者は「日本国内で押収された覚醒剤や大麻等の不正薬物の約9割は税関の摘発によるもので、全国の税関における不正薬物の年間押収量は8年連続で1トンを超え、依然として高止まりの状況が続いています」と語る。

羽田税関で発見された拳銃、隠し場所にゾッとした… 「映画の世界かよ」とネット民驚愕
(画像=『Sirabee』より引用)

「厚い書籍の中に拳銃が隠されている」という光景を受け、ネット上には「映画のワンシーンみたい」といった声が多数上がっていたが、ある側面から見ると、これは危険な考えかもしれない。

…というのも、東京税関の担当者が「近年、自分自身の知らないうちに、薬物などの運び屋にされるケースが見受けられます」とも語っていたからだ。

例えば、SNS上で「タダで海外旅行ができて、お金を稼げるアルバイトがあるよ」といった投稿を発見し、甘い言葉に誘惑されて海外から荷物を運ぶ仕事を引き受けたところ、預かった荷物に薬物が隠されていた…というケース。

また、海外旅行先の現地で親しくなった人物から「日本に友人がいるので、荷物を持って行ってほしい」と頼まれたところ、預かった荷物に薬物が隠されていた…というケースも散見される。

恐らく、こうした運び屋となった(された)人物の多くが「こういった事案は遠い世界の出来事で、自分には関係がない」などと考えていたのではないだろうか。

担当者は「薬物の密輸は重大な犯罪で、諸外国によっては死刑が適用されるケースもあります。甘い誘いには決して乗らず、また安易に荷物を預からないことが重要です」と注意を喚起する。

羽田税関で発見された拳銃、隠し場所にゾッとした… 「映画の世界かよ」とネット民驚愕
(画像=『Sirabee』より引用)

税関での取り締まりを効率的に実施するには、国民一人ひとりの情報や協力が重要となり、担当者は「外国から荷物を送りたいので、名前と住所を貸してほしいと頼まれた」「夜中に漁具も積まずに出航していく漁船がある」「近所の倉庫に見慣れない人物がいる」といったシチュエーションを例に挙げる。

そして「どのような些細なことでも構いません。密輸情報提供サイト(税関公式)、または密輸ダイヤル「0120-461-961」(シロイ・クロイ)に情報をお寄せ頂きますよう、よろしくお願いいたします」とも呼びかけていたのだ。

国際化が進む昨今においては「フィクション作品の話だと思った」「海外でしか起こらない事件と思った」という考えは非常に危ういもの。国際社会に生きる現代人として、国民一人ひとりが改めて危機意識を持つべきだろう。