■「そんな場所に隠すのか…」と驚きの連続
ポスト投稿主・ロゼ子さんが件の写真を撮影したのは、羽田空港第3ターミナル3階にある「情報ひろば」(税関広報展示室)でのこと。
発見時の心境について、ロゼ子さんは「海外に出国する前にたまたま長い時間ができたので、出発ロビーの税関コーナーに立ち寄りました。この展示を見つけた私自身もデイリー六法を使って勉強していたこともあり、勉強仲間に向けて『法に穴を空けた人がいる!』と共有したくなり、ポストしました」と振り返っている。
そこで、東京税関 羽田税関支署にロゼ子さんのポストを共有のうえ、取材を打診したところ「税関に興味を持って頂ける内容であればぜひ」と快諾を得られ、羽田空港へ向かうことに。
現地には「六法集に隠された拳銃」の他にも、「スニーカーの中敷きの下に隠された金塊」や「ぬいぐるみの内部に隠された覚醒剤」など、思わず目を疑う事例が多数展示されていた。
「情報ひろば」にて展示されている事例について、東京税関の担当者は「大量の薬物の密輸を図った事案や、巧妙に隠匿した事案などを、適宜のタイミングで紹介・公開しています」「展示ついてはスペースの関係もあり、展示物更新の際に検討しています」と説明する。
これらの事例も非常に気になるが…まずは、Xポストにあった摘発事例の詳細について尋ねてみたところ、「展示物は過去の摘発事例を元に再現し、作成したものです。こちらは相当昔の事案でもあり、詳細はお答えできません」との回答が得られた。
ポストを見た当初、記者は『デイリー六法』が平成26年(2014年)版である点を考慮し、2010年代に摘発された事例では…と推測したが、同時に前出の「違和感」が頭をよぎる。
それは「現代(2010年代)の技術を用いればこの程度の偽装は難なく見破れるはずだが、持ち込んだ人物は予測できなかったのか?」という疑問であった。しかし前出の回答にあったように、こちらは数十年前の「昭和の時代」に摘発された事案が元であると判明し、納得した思いであった。
また『デイリー六法』が発行されたのは1991年(平成3年)からのことであり、同事案が摘発された時代に同書は存在しなかった。そのため当然、実際の隠匿に「同書は使用されていない」という点を強調しておきたい。
なお、近年では類似事案として「厚みのある書籍の内部をくり抜いて覚醒剤を隠匿した事案」が摘発されており、そちらについては詳細が確認できた。
2022年4月、南アフリカ共和国からの航空貨物から覚醒剤が発見されたケースで、その量はなんと約6kg。
当時の末端価格にして約3億5,000万円にして、使用回数約20万回分にもなるボリュームである。