日経社説は「1998年以降に断続的に派閥会長を務めた森・元首相らの国会招致を野党は求めている」と、腰が引けた表現ながら、「本丸は森氏」を示唆するような表現を使っています。
読売社説は、森・元首相の関与の有無に言及することはなく、「人口減少や物価高など解決すべき問題は山積している。国際情勢も緊迫している。重要な局面をどう乗り越えるか」と語るにとどめています。下村氏は裏金継続で決定力のあったのは「ある人」と述べ、恐らく森・元首相を示唆したかったのでしょう。やはり森氏の舞台裏の動きの解明は必要です。
問題は朝日が「森氏の関与はなかったのか」、毎日が「森氏は国会で説明すべきだ」と主張するなら、それを裏付ける事実関係を報道する必要があります。社説は犬の遠吠えであってはいけない。関連記事、解説にも、森氏の関与に触れる箇所が見当たりません。調査報道をなぜしないのか。
世論調査では「処分案に納得できない」が7、80%以上でしょうから、岸田首相は当分、解散・総選挙をしないでしょう。解散したら惨敗は必至ですから、世論の動向をみながら、任期満了(25年10月)ぎりぎりまで総選挙を待つしかありません。
自民党離党勧告を求められた塩谷、世耕氏は総選挙で再当選しない限り、復党はなく、もう必死でしょう。党員資格停止、党の役職停止を下された幹部らは、停止期間が「6か月-1年」です。この間、選挙がなければ、停止期間が切れ、党の公認も得られる。処分にも平然としている。
当選回数の多い上層部はともかく、若手議員は自民党のイメージダウンの影響をもろに受けます。世論調査によると、「支持政党なし」(無党派層)が50%を上回っています。自公合わせ30%以下ですから、野党が連合を組み、無党派層を取り込む好機です。
野党も「自らに波及しないところで処分の線引きをしている」などと発言しています。そんな遠吠えでなく、自民をもっと追い込む戦略を練るべき時なのです。
編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2024年4月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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