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厚労省のWebサイトには、コロナワクチンのリスクについて次のように記述されています。

これまでの死亡に係る副反応疑い報告の状況、国内外のmRNAワクチン接種後のリスク分析のエビデンスも踏まえると、現時点では、引き続きワクチンの接種体制に影響を与える程の重大な懸念は認められないとされました。

厚労省のWebサイトにおいては、「コロナワクチンと接種後死亡や重篤な副反応との間には因果関係はない、あるいは関連性はない」といったことは記述されていません。単に「重大な懸念は認められない」と書いてあるだけです。今回は、この表現の意味について考察してみます。

注目するべきことは、「重大な懸念は認められない」としていますが、軽微な懸念については否定していない点です。

この軽微な懸念というのは、重篤ではない副反応に対する懸念ではなく、接種後死亡や重篤な副反応が少数発生する場合に対する懸念を意味していると考えられます。つまり、接種後死亡などの発生率が非常に低ければ、重大な懸念ではなく、関連性があったとしてもワクチン接種を中止する必要はないという考え方を示しています。

この考え方は、トロッコ問題の観点から考えると、「多数を救うためには、少数を犠牲にすることはやむを得ない」という考え方に通じます。コホート研究で有意差が認められなかった場合、ワクチンは安全とされ、ワクチン接種が中止されることはありません。これは政治的判断でもあります。

この考え方が正しいか否かを今回は論じませんが、「重大な懸念がなければワクチン接種を中止しない」という考え方の背景には、このような思想があることを理解しておく必要があります。

コホート研究の場合、死亡発生率が非常に低い場合には、関連性がある場合においても、接種群の発生率と未接種群のそれとには有意差が認められません。ワクチンは健常者を含めたすべての人が接種対象となるため、治療に使用する医薬品より高い安全性が求められ、死亡発生率は非常に低いことが求められます。したがって、コホート研究のみでワクチンの安全性を評価することに、私は疑問を感じます。