黒坂岳央です。

「繊細ヤクザ」「繊細チンピラ」という言葉が流行っている。「あなたの言動で傷ついた。どうしてくれる」と難癖をつけるクレーマー、というのが言葉の定義となっている事が多い。

筆者は動画や記事を出している立場なので、実際に攻撃を受けてきた立場である。見解を述べたい。

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「繊細」は弱みでもあり強みでもある

繊細、というと一般的にマイナスポイントと捉えられてしまうこともある。「小さなことでイチイチ傷つくなよ面倒くさいな」と考える人もいるだろう。しかしながら、歴史上の人物を見れば繊細さは強力な武器にもなるという事実が見える。

たとえば芸術家のゴッホは大変繊細な人物として知られており、人間関係はうまくいかない事が多く、芸術の道を深めていくことになったと分析する声もある。ストレスから自分の耳を切り落としたという話も残っている。

文豪の夏目漱石も敏感な性格として有名で、あまりに繊細であるために被害妄想もひどく、ロンドン留学中に神経症となり驚いた友人が「夏目狂せり」と電報を打ったというエピソードが残っている。

繊細さとは「心の視力」のようなもので、普通の人が流してしまう言葉や出来事が解像度高くなんでも見えてしまい、それ故に機敏に察知する。故に芸術や学術、ビジネスの分野で多くの人が見落とす情報を拾い集め、一つの作品に昇華させる。

筆者自身は大まかで楽観的な部分と、神経質で大変細かく一言一句気にする繊細な部分のミックスでできている。ある分野では鈍感で何も気にしない一方で、特定の分野では大変面倒くさい一面を持っているという自覚がある。そのため、面倒な部分は絶対表に出さないように気をつけている。だがこの神経質、繊細な部分のおかげで潜在的リスクを素早く察知したり、仕事で活路を見出したことは何度もあった。繊細さとは日常生活では弱みになる一方、同時に鉄火場では強みになるのだ。