ご承知と思いますが、映画の資金調達は企業による出資もありますが、投資家に頼ることが多いのです。その場合、必ずヒットする法則を求める傾向が強いため、過去のヒット作品の続編に資金が流れやすいのは投資家としては大失敗しないリスクヘッジだともいえます。これが逆に新味の映画を生み出さなくなったともいえるでしょう。

私はハリウッドは既に没落した映画帝国だと思っています。監督のこだわり、俳優の癖、出資者の意向、そして観客の反応が全てバラバラなのです。これでは期待した映画は作れないのです。

日本でもアニメ映画が流行るのは制作費の問題と共に俳優の扱いが楽なことはあるでしょう。日本の映画俳優だけ見ても昔は「銀幕のスター」でしたが、今では扱いは小さくなっています。映画撮影の裏側話では演技が下手で使えない俳優とか性格がひねくれていてマネージャーらがなだめすかし、おだてながらどうにか出演してもらう話なども耳にします。つまり面倒くさい俳優が増えたのです。

一方アニメは既にコミックで人気の尺度が分かっているので結果が見えやすいこともあります。同様に邦画の実写版も小説を題材にしたものが多いのはそのネタ本の出来栄えや評価、人気具合が分かっているからでしょう。平たく言えばアニメ映画はリスクが低く、コストも低く、制作プロセスも実写に比べてはるかに楽、ということでしょう。なんだかなぁという気はします。

以前、韓国の「イカゲーム」を見た方も多いでしょう。韓国発の映画やドラマシリーズは安定的にヒットしています。個人的にはエンタテイメント要素が強く、一度見始めると止まらなくなりやすい内容が多いと思います。邦画は作品の質を深く追求するので韓国のそれとは一線を画し、芸術作品としてみる必要がありますが日本の独特の文化を背景としたものがあるので外国では理解しにくいこともありそうです。

弊社の書店部門から見えるのは、こちらの人は日本のホラー物が大好きです。漫画の場合、あの独特の絵のタッチがたまらなく良いそうです。アニメの世界はアメコミ(アメリカンコミック)とジャパニーズ アニメに分類できるのですが、ホラーもアメリカンホラーとジャパニーズホラーが二大ホラーと言ってよいでしょう。