またコロナ禍にあって人との接触を避けたい場合、自分で自分を抱きしめたり触ったりする「セルフタッチ」に頼ることはできるのでしょうか?
研究チームは、これらの疑問を解決するため、実験を行うことにしました。
「セルフタッチ」と「見知らぬ人との抱擁」がストレスを低下させてくれる
実験には平均年齢21歳の成人159人が参加しました。
参加者には、それぞれスピーチと数学の課題を行ってもらい、準備の時間を含めてストレスを感じるよう誘導しています。
そしてスピーチを行う前に、次の3つのグループに分けられました。
- 学生アシスタント(見知らぬ人)と20秒間抱擁する
- 20秒間セルフタッチする
- 紙飛行機を作る(接触を伴わない無関係な作業)
②の「セルフタッチ」グループは、タッチの方法も指定されました。
片手を心臓の上に置き、もう片方の手を腹部に置くようにしたのです。
ちなみに③のグループは、①②と比較するために、ボディタッチを行わない20秒ほどの作業(紙飛行機の作成)を行いました。
実験中、すべての参加者はストレスの誘発に応じて、コルチゾールレベルを上昇させていきました。
ところが、①見知らぬ人との抱擁や②セルフタッチを行ったグループは、コルチゾールレベルが低下。
しかも一番効果が高かったのは、②のセルフタッチを行ったグループだったのです。
そこに愛がなかったとしても、抱きしめる感触は人に安心感を与えてくれるようです。
しかし、見知らぬ人より、セルフタッチの方が効果が高かったというのは興味深い発見です。
ストレスを感じたときは両手で自分を抱きしめるべき
研究チームは、タッチがストレスを軽減させる理由を2点挙げています。
1つは、触覚によって迷走神経や副交感神経系の活動が刺激され、ストレス反応が調整されるというもの。