今回の研究の興味深い点として、人間とリスザルは近縁ではないにも関わらず、実験結果はどちらも同じように代謝がエネルギーの生成と消費に偏りました。

これにより、脳の大型化によるエネルギー消費量増加に対処するため、腸内細菌が似たように変化した可能性を示唆しています。

つまり、腸内細菌は脳の大きさや機能に関連する代謝の変化に関与しており、脳が大きく進化する過程で重要な役割を果たしたことがわかります。

研究者らは今後、他の霊長類の腸内細菌を使った実験や腸内細菌が生成する様々な化合物と宿主の組織の相互作用に関するデータ収集なども行いたいとしており、さらなる謎の解明が期待されます。

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参考文献

How did human brains get so big? The answer could be in our gut
https://phys.org/news/2024-12-human-brains-big-gut.html

元論文

The primate gut microbiota contributes to interspecific differences in host metabolism
https://doi.org/10.1099/mgen.0.001322

ライター

門屋 希実: 大学では遺伝学、鯨類学を専攻。得意なジャンルは生物学ですが、脳科学、心理学などにも興味を持っています。科学のおもしろさをわかりやすくお伝えし、もっと日常に科学を落とし込むことを目指しています。趣味は釣り。クロカジキの横に寝転んで写真を撮ることが夢。

編集者

ナゾロジー 編集部