犯人はチュニジア人で、同月23日、逃亡中、イタリアのミラノ近郊で警察官の職務質問を受けた際、銃撃戦となり、イタリア警察官に射殺されている。ちなみに、ドイツ警察側は犯人を久しく「危険人物」としてマーク、イスラム過激テロ組織(IS)と接触していた事実も掴んでいたが、ベルリンの「トラック乱入テロ事件」を防止できなかった。

マクデブルク市の容疑者は、8年前のベルリンの無差別テロ事件を意識し、車両によるクリスマス市場でのテロを考え出したのかもしれないという(「大型トラックが無差別テロの武器」2016年12月21日参考)。

欧州では2015年、中東・北アフリカから100万人以上の難民が殺到した。その直後から欧州ではイスラム過激派テロ事件が頻繁に起きている。2016年のフランス革命記念日の日(7月14日)、フランス南部ニースの市中心部のプロムナード・デ・ザングレの遊歩道付近でチュニジア出身の31歳のテロリストがトラックで群衆に向かって暴走し、86人が犠牲となった事件が発生するなど、トラクターなど車両を利用したテロが頻繁に発生している。

欧州のテロ専門家は毎年、「クリスマス市場がテロのターゲットになる危険性がある」と警告を発してきた。例えば、ウィーン市最大のクリスマス市場、市庁舎前広場の市場では路上から市場に大型トラックが侵入できないようにコンクリート製のポラードが設置されている。マクデブルクのクリスマス市場でも市場入口に車両侵入阻止が一応行われていたという。

マクデブルクのクリスマス市場襲撃事件が報道されると、ドイツばかりか欧州全土に大きな衝撃を投じている。キリスト教社会の欧州では現在、クリスマス一色で多くの人々が24日のクリスマスイブを控え、浮き浮きした気分となっている時だ。ショルツ独首相は「絶対に許されない蛮行だ。犠牲者には哀悼の意を表する」と述べている。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2024年12月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。