広大な宇宙には、人類の探査が進んだ現在でも数多くの謎が残されている。その中でも特に人々の想像力を掻き立ててきたのが、「ブラックナイト衛星」と呼ばれる地球周回物体だ。単なる宇宙ゴミなのか、それとも地球外生命体からのメッセージなのか。数十年にわたり議論が続くこの謎の物体の起源と歴史について、様々な説を紹介していく。
ブラックナイト衛星とは
ブラックナイト衛星とは、地球の極軌道付近を周回する未確認の巨大物体である。この物体は地球外起源であり、1万3千年以上前から地球を周回していると主張する者もいる。
1998年、最初のスペースシャトルミッションSTS-88で、アメリカの宇宙飛行士ジェリー・ロスがこの衛星の写真を撮影した。NASAはこの写真を宇宙ゴミの写真としてカタログに登録している。アメリカの宇宙ジャーナリスト、ジェームズ・オーバーグは、ブラックナイト衛星は宇宙遊泳中に紛失された断熱材に過ぎないと主張している。
発見の歴史と科学的根拠 この謎の物体をめぐる観測の歴史は19世紀末にまで遡る。1899年、ニコラ・テスラが宇宙から自然起源ではない無線信号を受信したと報告した。その後1928年には、無線愛好家のヨーゲン・ハルが説明不可能な長遅延エコー(LDE)を観測している。これらの信号は後にブラックナイト衛星と関連付けられることとなった。
1953年、UFO研究家のドナルド・キーホーは、米空軍が地球を周回する2つの衛星を調査しており、そのうちの1つがブラックナイト衛星であると主張した。しかし、後にキーホーの主張は実際の証拠に基づいていないことが判明。彼はUFO関連の著書を宣伝するために話をでっち上げたとされている。
1960年、宇宙飛行士ゴードン・クーパーは、マーキュリー9号のミッション中にカプセル内で光る緑色の物体を観測したと報告した。物体は追跡システムによっても検出されたが、明確な証拠は見つからず、NASAのミッション記録にもこの出来事に関する記述は残されていない。