黒坂岳央です。

「年を取ると体力がなくなり、頭も動かなくなって、病気になり…」という具合に「とにかく年を取ることは良くない。不幸になる」という意見が非常に多い。

筆者は昔から散々、この手の話に脅されて来てずっと年を取ることが怖いと思っていた。しかし、いざ中年になると「思っていたより年を取ってもいいことはたくさんある」と感じる。むしろ若い頃より幸せに感じることも増えた。その理由を取り上げたい。

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人目を気にしなくなる

誰しも、若い頃は人目が気になって思うように動けない事が多い。

小学生の息子は制服の半ズボンで登校しているので、「冬は寒いから温かいもの履いたら?」というと「友達から変だと思われるからダメ」と頑なに拒否されてしまう。その返答を聞き、「ああ自分も昔、同じように思っていたな」とどことなく懐かしく感じてしまった。

ところが年を取ると段々、人からどう思われようとほとんど気にしなくなる。「自分をよく見せたい!」という欲求が消えてなくなったのは、仕事で承認欲求を消化しているだけでなく、年齢の影響もあると思っている。

こうなるととても楽だ。人目を気にしてやりたいことを我慢する、ということが一切ない。自分が好きなことを気にせずできる。これで人生はとても楽になった。

ただし、ここでいう「気にしない」とはビジネス感度や不快感のない外観のことではない。メタ認知能力、ビジネス感度は鋭敏に保つ必要があるし、見た目はある程度整えるのがマナーなのでそれはまた別の議論が必要だ。

気持ちが安定した

若い頃はとにかく感情が爆発しやすい。欲しいと思ったものは貯金箱を空っぽにしていたし、怒りを感じたらドカンと爆発させてしまう。

ところが年を取ることで誰しも感情のコントロールが上手になっていくのが普通だ。「この場で声を荒げるのは得策ではない」とか「別に取り乱すようなことじゃない」と考えて冷静に対処できる。欲しい!と思ったものは借金して買う代わりに、何日か欲しい気持ちを寝かせて本当に必要か?を見定める。