アンモニアで発電するというのは筋が悪いし、CCSは大量に発生するCO2を回収して地中に埋めるという膨大な無駄をやるのでコストが高い。

太陽光発電は大量導入するとなると、一斉に発電して余ったときにはバッテリーに充電して、発電が止まったときにはバッテリーから放電しなければならない。このためバッテリー代や充放電ロスなどのコストがかかる(電力系統への統合費用という)。

政府のエネルギー基本計画(案)(p9)では太陽・風力の合計の電力量(キロワットアワー)を3割から4割にするとしているが、こうすると発電設備容量(キロワット)では全電力の6割に達する。

発電設備容量が膨大になる理由であるが、それは天気任せなので設備利用率が低いからである。現状でも、太陽光発電は、電力量では全体の1割に過ぎないが、発電設備容量は全体の3割もある。

この場合の発電コストは事業用太陽光で36.9円となる。洋上風力も風任せなので太陽光同様に「電力系統への統合費用」がかかり25.2円となる(発電コスト試算 p6)。

なおこの太陽光・風力についてはまだ送電線の建設費用などが算入されていないので、これでも過小評価である。

結論

以上から、結論は明らかだ。電気代を下げるにはどうするか。

原子力の再稼働を進め、既存の火力発電を活用すること。 それでも電気が足りないなら、原子力と火力発電の新設をすること。 太陽光・風力などの再エネや、アンモニア発電・CCS発電などは、いずれもべらぼうに高いので、導入をしないこと。

なお米国の主力である天然ガス火力発電のコストはキロワットアワー当たり6円(4セント)だ(発電コスト試算 p207)。米国は天然ガスが安いので新設でもこのぐらいになる。

トランプ大統領率いる米国は、この安価な天然ガスを「掘りまくり(drill baby drill)」、「エネルギー・ドミナンス(優勢)」を確立しようとする一方で、日本政府はますます電気代が高くなるGXを進め、経済を自滅させようとしている。愚かなことだ。