組織は論理的に構成され、組織の業務は論理的に編成されている。この論理性は、経営の効率性を支えると同時に、創造を起きにくくしている。創造は、過去から現在につながる論理的な展開の先に生まれるはずはなく、過去との断絶として、唐突なる変異として生起するからである。
創造は組織に属さない個人から生まれるほかない。その個人は、全く組織に属さない独立した個人とも限らず、部分的に組織に属する個人でもいい。働き方改革というのは、組織に個人を帰属させる伝統的発想を超えて、組織と個人との間に自由で弾力的な関係を構想するものであって、組織から創造を生むための仕組みである。
創意は個人としての人に訪れるにしても、創意が創造になるためには、協働する人の集団が必要である。この集団は、価値を共有する人の緩やかな集まりにすぎず、目的に対して合理的に編成された閉じた組織構造をもたない。ここには、明確な統制がなく、全ては価値の共有に基づく自然な自治に任されていて、個人は独立している。この個人の集団は、自治的な共同組織と呼ばれるのが一番相応しいが、片仮名でいえばコミュニティーである。