2.優れた人間関係
2つ目に人間関係である。仕事以外では決して交わることのない人を仕事は連れてきてくれる。
会社勤務をしたり、フリーでも経営者でもプロジェクトで人が集合すると、そこには日常生活では交わることのない相手と知り合うことになる。そしてその人間関係から、人は大いに刺激を受けてその後の人生を豊かにしてくれるのだ。
筆者が会社員の頃、東大卒、海外MBAホルダーの優秀なキャリアビジネスマンと一緒に仕事をした。それまでの人生はいわゆる「ハイスペックな人材」とコミュニケーションを取る機会がなかった。彼らの仕事っぷりを間近に見て「本当に優秀な人というのは、その優れた頭脳が仕事にしっかり出るものなのだな」と感じる事が多かった。彼らから仕事の技術や向き合い方の姿勢など様々なものを学ばせてもらった。
3.承認欲求の処理3つ目は承認欲求の処理である。良くも悪くも人間には「承認欲求」が備わっている。
これを上手に活用することで、社会の役に立つ仕事を目指したり、人から感謝されるような人物であろうと考え、それが社会全体でメリットをもたらす。その一方、世間一般的な認識であまり好ましいとされない職業についている人ほど、この承認欲求をお金の力で無理に満たそうとしがちだ。自分を高く見せるために、見栄の散財や高級ブランドで着飾って、それを見て周囲からますます敬遠されるという悪循環を生み出す。
人間は生きている限り、承認欲求とはずっと付き合っていく必要がある。その最も健全で確実な処理の方法は「いい仕事をすること」だ。いい仕事をすれば、人から感謝される。「ありがとう」「助かりました」といってもらえば、誰にも眉をひそめられることなく承認欲求が満たされる。それで自信をつければ、ますますいい仕事を頑張る励みになり、それがビジネスマン本人の社会的価値を高めるリターンをもたらす。仕事以外の代替手段はおそらく、ボランティアくらいなものだろう。
「もう一生分稼いだのでは?」と思われる大物がずっと働き続けるのは、自己実現欲求によるものもあるが、一方で承認欲求を満たすためでもあると思っている。
◇
仕事の価値はお金だけではない。贅沢はすぐに飽きるが、仕事が連れて来るお金以外の価値に対してはどれだけ受け取っても飽きない。知識や技術が洗練され、いい人間をもたらし、人から感謝されることはいつまでも楽しめるのである。
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