一夜にして暗転、これがぴったり当てはまるのが大谷翔平氏とプーチン大統領かもしれません。この二人を並列に並べるのはおかしいという意見があるかもしれませんが、このテーマを個人のバックグラウンドというより明日のことは分からない、というあらゆる人への警鐘という意味で考えてみたいと思います。
大谷さんの問題については様々な報道がありよくわかりません。先日このブログで「振込したのは大谷さんの確度が高いのではないか」と申し上げましたが、50万円、100万円ぐらいならともかく、6億円とか7億円という金額は尋常ではなく、大谷さんがそれをしなくてはいけない事情があるようにも思えなくもありません。
日本では悲鳴に近い声ですが、アメリカはそのあたりはドライでシビアです。無言はあらぬ噂を引き起こす、とアメリカの報道にあるそうですが、それは北米に住む者としてよくわかります。大谷さんはアメリカでもヒーローでありますが、よく思っていない人もいる、それは確かなのでそういう人たちの疑惑の念が上がってきては非常に不利になると思います。
北米では「喋ってなんぼ」という社会で議論や疑念が生じた場合、あらゆることを曇りなくさらけ出す、これが基本です。もちろん、そのさらけ出し方は自分に有利なように持っていくわけで、トランプ氏の論陣はその典型です。その釈明なり説明なりを受けて人々はコトの判断をするわけです。
日本ではマスコミが判断材料を提供するのみならず、その白黒を記事のトーンで明白にして、読み手に判断そのものを暗示する、これがスタンスです。北米の場合、判断するのはそれを聞いた人々それぞれの考えがまだ強いと思います。
「沈黙は金なり」は今の世界では通用しません。自民党の裏金問題がすっきりしないまま展開しているのは真実が表ざたになっていないからです。政倫審でも答弁者が「自分は関与していない」という自己弁明に走り「では事実は?」と聞けば「わかりません」と答えます。この「わかりません」は日本語では「自分の関与は薄く、またその背景を仮に知っていたとしても他人様に多大なるご迷惑をおかけすることになり、不正確なことは口にはできない」という意味が内包されています。
思い出すのが今から13年前のオリンパス事件。同社は経営トップなどごく一部しか知らないバブル期の巨額損失を長年公表しませんでした。歴代の社長は極秘の引継ぎ事項として爆弾入りパンドラの箱が社長就任土産の抱き合わせパッケージだったと言ってもよいでしょう。
ところが、こういう噂は必ず漏れるのです。実は私も当時、同社に変な噂があるというのは耳にしていました。もちろん、具体的な内容は分かりませんが、怪しげな「爆弾」があるというのはある程度感性がある人で興味がある人ならなんとなく知っていたはずです。「パンドラの箱から染み出すすかな痕跡」と書けばイメージできるでしょうか?その箱はFACTAという雑誌とイギリス人社長がこじ開けたのが顛末です。