任天堂の狙いはパラワールドの配信停止か

 ゲーム業界の歴史は長く、現在も毎年多数の新作タイトルがリリースされいるため、多くのタイトルで同一の基本的技術が使われたり、自社で考案した技術が偶然に他社のそれと似てしまったり、他社の特許権を侵害している恐れがあるというケースは少なくないと考えられる。そのあたりの問題について、業界全体としてはどのような慣習・ルールとなっているのだろうか。

「ゲーム開発会社は、世間の想像以上に、他社の特許権を侵害しないよう相当な注意を払って開発を行っています。たとえば音ゲーに関する特許を多く持っているのはコナミですが、セガやバンダイナムコの音ゲーはコナミの特許権を侵害しないように異なる形式のゲームとなっています。任天堂に訴えられたコロプラも特許を調べたうえで、問題ないと判断していたわけです。そうした業界のルール・慣習に照らし合わせても、やはり『パルワールド』開発元の脇の甘さを感じざるを得ません」

 任天堂は「侵害行為の差止及び損害賠償を求める」としているが、「パルワールド」が配信停止になる可能性はあるのか。また、損害賠償額はどれくらいになると考えられるのか。

「任天堂の知的財産の部隊はホントすごいので、確実にパラワールドの配信停止(侵害行為の差し止め)を狙ってるのでしょう。おそらくその通りの判断がされると考えます。また、特許法は、損害の立証について、権利者にものすごく優しい規定を設けており、裁判ではパラワールドが『儲けた』ことを示す資料を強制的に提出させることができ、さらにこの儲けた額そのものを損害金として認定してもらうことができます。

 おそらく、ここに至るまで任天堂は徹底的にパラワールドのゲームを解析しているので、知的財産訴訟レベル3の私にも、裁判が始まった時点で任天堂の勝ちが見えてます。おそらく十数億円の損害金が認められるでしょう」(山岸弁護士/9月19日付当サイト記事より)