私のシカゴ大学の親友シュライバー博士は、がんの遺伝子異常から生まれる抗原(ネオアンチゲン)が免疫療法に応用できる可能性を1995年に報告し、それ以降ずっと米国NIHの研究費を獲得し続けている。最近評価が高いCAR-T細胞療法も、初期の挫折を乗り越えて20年以上の努力の結果生まれたものだ。弛まない努力が大きな進歩を生み出すのだ。

米国と日本で何が異なるのか?答えは明確だ。評価する人たちが無能なのだ。投資する人たちに見極める能力がないのだ。最近はすぐに目に見える成果を求めるが、進捗を評価できない人たちが評価しているのだから、CAR-T細胞療法・TIL療法・ネオアンチゲン療法など日本から世界に先駆けて生まれるはずはない。

このNews欄には、リンパ球を利用した多くの例が紹介されている。心ある人たちが頑張るしかない。

編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2023年12月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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