Nature Reviews Drug Discovery誌のnews欄に「Tumour-infiltrating lymphocyte cancer therapy nears FDA finish line」という記事が出ている。表題の通り、腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)が米国FDAに承認される日が近づいてきたのだ。
米国癌研究所のローゼンバーグ博士が、腫瘍から取り出したリンパ球をIL2というサイトカインを加えて培養してリンパ球を増やし、それを注射する治療法を始めたのは今から35年前だ。
紆余曲折はあったが、67人目の患者さんでがんの完全治癒が認められたという。これまでも腫瘍が小さくなる効果は報告されていたのだが、ようやく治癒と考えられる状況になった。
免疫チェックポイント抗体、ネオアンチゲン療法など、がん免疫治療の進歩は著しい。日本はなぜ遅れたのか?理由はいくつかある。過去をさかのぼると、丸山ワクチンを巡る著名な研究者と無名な研究者のバトルだ。面子を潰された高名な研究者とその取り巻きが、丸山ワクチン潰しを諮り、その刀で免疫療法も否定的な評価を受けた。
さらに事態を悪くしたのは、拝金主義の無科学な免疫療法屋だ。科学的な評価もせず、過大な効果を謳って金儲けをしたために、「免疫療法=悪」という烙印がついてしまった。ローゼンバーグ博士は批判を受けても、それを科学で打ち破り、科学者として高い評価を得ているが、日本ではごくわずかの医師だけが科学的に取り組んでいるに過ぎない。。