さて、では徴兵制を我が国に導入するという話が出たらどうでしょうか?上を下への大騒ぎになることは確実でそれこそ、そんなことを言い出した政党は消滅の危機になるのかもしれません。もともと日本では徴兵=赤紙というイメージがこびりついているし、ろくに武器もなく、弾薬もなく、戦略も戦術もなく、やみくもに「決死の戦いに臨むのだ」「はい、死んでお国のために頑張ります」というお涙頂戴の話が強い印象になっていることはあるでしょう。

戦時下ではないときの徴兵で訓練を受けた場合でも将来、戦争になった場合、呼び出されるリスト入りしているので「お国のために頑張ります」はなんら相違はないのですが、日本がかつて挑んだ陸軍の泥沼の戦いは日本の現在の憲法からすると起こりえないし、あくまでも国防という観点の意識を高めるもので一種の啓蒙的行動ととらえたほうが良いのでしょう。

私がこんな唐突なことをふと考えたのは最近の日本の社会事件のレベルがばかばかしいほど低く、ニュースを見るたびに日本は一体どうしちゃったのと思わずにいられないからなのです。若者が誰かに雇われて殺人をする、強盗をする、家族同士の殺し合い、警察に追いかけられて逃走する車で事故る…。問題を起こしていなくても怠惰な生活、Youtube番組視聴とゲーム三昧の日々、何をやるにも「かったるい」といって動かない若者が多いのです。

日本は平和で安全な国というイメージが強かったのです。今でも玄関にカギをしない家は結構あるはずです。泥棒が来るという意識がないのです。先日も外国人の犯行でしたが、ぽつんと一軒家が狙われて強盗が押し入りました。そのうち、泥棒するだけなく、放火して証拠隠滅のつもりをする輩も出てくるでしょう。良識ある人間とは到底思えないのです。

このゆがんだ社会を立て直すには刺激的な政策は確かに必要かもしれません。スナク首相は英国の徴兵制度案についてこう述べています。”I will bring in a new model of national service to create a shared sense of purpose among our young people and a renewed sense of pride in our country.” (私は国家奉仕の新しいモデルを導入し、若者の間に共通の目的意識を生み出し、我が国に対する新たな誇りを生み出します。)これは素晴らしい発想だと思います。

英国や日本だけではなく、世界全般で価値観が変わってきてしまったのです。私は飽食の社会が生み出した共同社会構築の欠如ではないかと考えています。日本も個人主義が異様に進んでしまったのです。若者はそれを「個性」と称するのですが、皆さんが立っている土台は同じところにある、という意識を取り戻すためには徴兵だと語弊があるので、「社会奉仕義務」を1年間ぐらい取り入れるのはむしろ国民のベクトルを正すという意味で箸にも棒にも掛からないわけではなく、むしろ悪くない発想なのかもしれません。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年5月27日の記事より転載させていただきました。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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