任せるからには口を出さない

そして、ナンバー2に対するトップの姿勢も大切です。近藤はほとんどの作戦の指示を土方に任せました。

本田も技術のこと以外は会社の実印も含め藤沢に一任しました。任せるからには口を出さない。権限を明確に渡すことが重要です。そのことがナンバー2を輝かせます。

権限譲渡と結果の要求。この二つがセットになっていなければなりません。権限を渡すだけではナンバー2が乱用してしまいます。

ですからしっかり結果で示すことを約束させなければなりません。そうすれば、渡された権限を最大限に活かし、ナンバー2は大きな成果を出し始めるでしょう。

ナンバー2の育て方

土方や藤沢のように自分のことを信頼して慕うナンバー2の素養をもった人物に出会えれば、トップとしては幸運です。しかし、実際はなかそういったことはないでしょう。

では、どうすればよいか。それは、ナンバー2を育てるしかなく、前述の通り、権限を大胆に渡す代わりに厳しい結果を求めるのです。

私の在籍する識学社はそれを具現化しています。トップの安藤にナンバー2の梶山。

梶山は立ち上げ当初、目標未達が重なったとき、安藤から毎週詰問されて、「一緒に会社を立ち上げたはずなのに、なんでこんな目に遭わなければいけないのか、と思ったこともある」とお客様向けのセミナーで話していたことがありました。

安藤は大胆に営業部の責任、権限を梶山に任せるとともに、結果を求め続けたのです。

それによって強力なナンバー2を手に入れた安藤は、IPOに集中することができ、短期間での上場を果たしました。そして社長として売り上げを作る役割を早い時期で卒業できたのです。

ナンバー2が育たないと嘆いているトップの皆さん、任せられない、まだまだかな、と思っているうちに、優秀なナンバー2を得る機会を取り逃しているかもしれません。

羽石 晋(Susumu Haneishi) 上席コンサルタント コンサルティング部 課長。埼玉大学教育学部を卒業後、人材サービス企業のランスタッド株式会社に入社。支店長職を経て、関西中部エリア、中四国エリアのエリアマネージャー、再就職支援部部長を歴任し、識学に入社。

編集部より:この記事は株式会社識学『識学総研』2022年6月17日のエントリーより転載させていただきました。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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