ですから、仮にスポットで助成金業務を受けたとしても、助成金が500万円振り込まれるのであれば、20%なら100万円。1,000万円なら200万円の報酬が入るのですから、スポットで受けても決しておいしくないとは言えないでしょう。では、なぜ社労士は顧問先からの受託にこだわるのか。
顧問先からの受託にこだわるのは、不正受給のリスクを避けるためそれは、不正受給のリスクがあるからです。ここ最近、不正受給の数は多く、関与する社労士の責任も強くなってきており、社労士自身が不正に関与することを恐れているのです。
ただ、これに関しては社労士が日和っているというよりは、真面目にリスクがあるので、理解してあげるべき点でしょう。一見さんでとても感じの良さそうな会社でも、裏で何をしているかなんて、1度や2度の面談ではとても見抜けません。
そこで、顧問契約をするのならば、通常の経営を見ることもでき、悪質な会社かがどうかを見抜くことができる可能性が高まるため、助成金業務の受注は顧問先に限定している社労士が多いのです。
こうした事実を伝えると「でも、いきなり顧問契約って言われても……」と考える経営者は実に多いもの。そして、どうせ顧問契約をするなら、プロの社労士と契約したい。こうも考えます。
基本的には顧問報酬はコストではなく投資。顧問報酬以上に助成金が手に入る、あるいは労務問題の解決や組織を伸ばすためのコンサルティングが可能であれば、大きなリターンがあるわけです。ですから、顧問契約の内容を社労士自身に提案してもらいましょう。
あとは、通常の顧問契約のほか、もし高い報酬を支払ったら、どんなことが可能なのか? 助成金は率先して探してくれるのか? といった質問をして、報酬に見合う内容なのかどうか見極めてください。
アラート機能を持っている社労士は貴重ちなみに、アラート機能を持っている社労士も貴重です(というか、本来は当たり前なんですけど)。助成金は、期限との戦いです。期限までにきちんと要件を満たし、書類をつくって提出すること。締め切りを過ぎた場合の救済措置はまずないと考えてください。
これに似ているのが税理士の経理資料等の提出を促すアラートですが、毎月の経理が多少遅れても、決算で帳尻を合わせればそれほど問題ないので、助成金業務を取り扱う社労士により強く求められる機能です。
これらも併せて、社労士にプロとしての提案を期待しましょう。労務相談、手続き込みの顧問なんて、当たり前過ぎますからね。あなたの会社に利益をもたらしてくれるプロをなんとしても掴んでおきましょう。結構この助成金をコンスタントに取れるっていうのは、会社経営にとっては重要ですので、やっぱりもらえるものはきちんともらっておきましょう。
「人を雇いたいのですが……」と聞いてみよう最後に、あなたが会った社労士が、どれだけポテンシャルを秘めているか。もっとも簡単にわかる質問をお伝えしておきましょう。この質問に対する回答は、経験者にはその実績値をはかるものでもあり、育てる場合にはセンスをうかがうものでもあります。
その質問は、「これから人を採用しようと考えているのですが、どんな準備が必要で、どんなことをする必要がありますか?」というもの。
シンプルですが、結構奥が深い質問です。社会保険や労働保険の話題だけしか出ないようであれば、三流。助成金や就業規則等の話まで出れば二流。採用の方法や育成、コーチング、将来展望、今後についてのヒアリングまで出れば一流です。
ちなみに、超一流は、「なぜ、採用するのですか?」と質問で返します。そもそも採用する必要があるのか、その真意は何なのか、本質を探しにくるからです。
ぜひ、あなたもこれから絶対的に必要である人事労務のパートナー。妥協せずに見つけてみてください。
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横須賀 輝尚 パワーコンテンツジャパン(株)代表取締役 WORKtheMAGICON行政書士法人代表 特定行政書士 1979年、埼玉県行田市生まれ。専修大学法学部在学中に行政書士資格に合格。2003年、23歳で行政書士事務所を開設・独立。2007年、士業向けの経営スクール『経営天才塾』(現:LEGAL BACKS)をスタートさせ創設以来全国のべ1,700人以上が参加。著書に『資格起業家になる! 成功する「超高収益ビジネスモデル」のつくり方』(日本実業出版社)、『お母さん、明日からぼくの会社はなくなります』(角川フォレスタ)、『士業を極める技術』(日本能率協会マネジメントセンター)、他多数。 会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業 | 横須賀輝尚
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編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2024年5月1日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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