多数冊読みでその分野の基礎を固める
この例は少し極端ですが、つまり言いたいのは、特に自分が知らない分野の本を読むときには、何が標準的な知識なのかを把握するために、最低でも3冊の本を読み比べてほしいということです。
その3冊すべてに共通して書かれていることが、すなわちその分野で重要なことで、押さえておくべきことだからです。
別の言い方をすれば「多数冊読み」は、そのジャンルにおける「常識」を身につけることでもあります。その常識がわかったうえで、どの本に書いてあることを取り入れるか、幅広い視点を持って考えればいいのです。
単価を引き上げるためには、商品デザインを変える、使っている材料を高級なものにしてみるというのもいいでしょう。販売個数を増やすのは、販路を拡大するか、イベントなどを頻繁に行って商品の認知を広げるなど、方法はいろいろとあります。
そこで、顧客の抵抗なく単価を上げる方法や、販売個数を増やす方法について、各著者でオリジナル性が出ている部分を見つけ、自分たちにはどのような方法が有効なのかを考えればよいのです。
未知のジャンルの常識を知ることが多数冊読みの目的でもあるので、3冊を選ぶときには、内容が極端に違うものは避けて、できるだけ同じようなものにしましょう。先の例で言えば、根本的な部分「単価×販売数」を増やす方法について論じている本を3冊選ぶということです。
まずは多数派の意見を知るための読書をすること。そしてそのジャンルについての基礎固めをすることです。意外な発想を学ぶのは、その後で十分なのです。
ぜひ実践してみてください。
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金川 顕教(かながわ・あきのり) 公認会計士・税理士 公認会計士、税理士、『YouTube図書館』運営、作家。 三重県生まれ、立命館大学卒業。大学在学中に公認会計士試験に合格し、世界一の規模を誇る会計事務所デロイト・トウシュ・トーマツグループでの勤務を経て独立。現在、会社7社のオーナー業の傍ら、起業家育成プロデュース、出版プロデュースを行い、1人でも多くの人に読書の大切さを伝えるため、『YouTube図書館』の運営及び執筆活動を開始。『YouTube図書館』では、毎日更新、年間365本の書籍解説動画をアップし、これまでに解説した書籍は1,640冊以上、チャンネル登録者は132,329人、動画再生数は2,656万回を突破(2023年1月現在)。執筆活動では、ビジネス書、自己啓発書、小説など多岐にわたるジャンルでベストセラーを連発し、累計部数は55万部以上。
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編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2023年5月8日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。