21世紀の世界情勢をみると、残念ながら世界至る所で人権が蹂躙されている。ロシアのプーチン大統領はウクライナを兄弟国と言いながら、ウクライナに軍事侵攻し、民間人を恣意的に殺害し、人間が生きていくうえで不可欠なインフラを破壊している。東方正教会のコンスタンティノープル総主教、バルソロメオス1世は、「ウクライナに対するロシアの戦争は『フラトリサイド戦争』(兄弟戦争)だ」と述べている。

ところで、ドイツ司教協議会とドイツ福音主義教会(EKD)は世界的な「宗教の自由」に関する第3回の共同報告書を発表したことがあるが、EKDのペトラ・ボッセ=フーバー司教によると、同報告書は「宗教の自由」を例に挙げて普遍的な人権教育を推進するためのものという。同報告書の共同執筆者のハイナー・ビーレフェルト氏は、「『宗教の自由』なくして人権は完全となり得ない」「宗教の自由は社会の中心に位置すべきだ」と述べている(「『信教の自由』なき人権は完全に非ず」2023年7月7日参考)。

人権の基本法といわれる「世界人権宣言」、その履行状況を管理する「ウィーン人権宣言」は法的な権限はないが、その意義は益々高まってきている。同時に、人権を無視し、蹂躙する独裁国家は依然、存続している。日本のような先進諸国の民主国家でも「信教の自由」が白昼堂々と蹂躙されているのだ。モックさんなら世界の人権状況をどのように評価するだろうか。

国際連合人権理事会の会場 Wikipediaより

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2023年12月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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