私事で申し訳ないのですが、不動産事業、つまり「箱ものビジネス」を生業としているのですが、箱を作りそれをお客様に売るなり貸すなりした場合、市場価値以上の付加価値はありません。例えばアパートを建ててもこの場所でこの広さなら相場はいくらと決まっているわけです。その相場を乗り越えるには付加価値を創造する必要がありました。そこで10年前からシェアハウスをやり6年前からサービスアパートメントをやり、3年前から通常のアパートにある付加価値を乗せる方式を取っています。これは日本の事業で、カナダの事業ではもっと継続的に既存物件に投資をして付加価値の創造をし、いわゆる近隣相場で最高水準でかつ顧客が絶対に離れないビジネスを生み出しています。

それは不動産事業者の枠組みを超える意気込みなのだと思います。基本は日々のオペレーションにどれだけ自分が入り込むかです。マリーナも駐車場もストーレッジ業も全部自社運営しているところに強みがあり、顧客が求めるものを常に先取りするのです。

同じコンビニのニュースが並ぶ中、セブン傘下のイトーヨーカドーについて日経が「窮地」とし、「再出発の『カギ』にぎる創業家」と題した編集委員記事を掲載しています。セブンについては昨年の西武そごう売却でドタバタぶりを見せ、いよいよ次は本丸イトーヨーカドーの処遇であることは誰にでもわかることです。セブンは明白には言わないですが、売りたいのでしょう。ですが、買い手がつかないほど弱体化させてしまったのです。つまり、セブンはコンビニ事業に力を入れるあまり、異流、業際業種を完全放置プレーにして価値を遺棄させたわけです。私から見れば創業家なんて鍵を握っているようには思えません。伊藤家はそんなタイプの家系ではないのです。買いかぶりもいいところだと思います。よってセブンだけを考えれば早急に切り離すべきで、イトーヨーカドーとすればセブンは愛もないし、人材も金も突っ込まないのが目に見えているので古女房にすがらずにさっさと再婚相手を見つけるべきなのです。

時代の風は日々、変わってきています。学問や経験で安住している時代ではないのです。私もふと思うことがあります。あと100年生きられたらもう少し面白いビジネスが出来たのになぁ、と。生まれ変わったら何になりたいか、って。そりゃ、ビジネスマンに決まっています。リベンジです。もっと面白いビジネスをしてみたいと思います。それぐらい楽しいのです、この仕事。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年2月9日の記事より転載させていただきました。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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