多くのビジネスパーソンは、日常的にさまざまな「資料」を作成しています。しかし、いい資料を作成したつもりでも、意図が相手に伝わらないことがあります。

本来の目的は、伝えたいことが伝わり相手を動かすことですが、伝わらないことがあります。

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パワポはカラフルでチャーミング

以前、筆者が所属していたコンサルティングファームでは「資料の正確さ」「フォーマットの完璧さ」が求められていました。フォントのサイズ、リード文の長さ、図式の位置、ロゴマークの位置が数ミリずれているだけで大騒ぎになります。

プレゼンテーションは「プレゼント」という意味で理解されました。プレゼントをする企画書に手抜かりがあってはいけないという意味です。企画書は見た目がすべて。ドキュメント数枚で合意形成をしなければいけないので、それがプレゼンテーションの姿だと考えられていました。

プレゼン前日は「KINKO’S」での作業が日課です。資料はカラーで製本されます。筆者が所属していたコンサルティングファームの社長は風水好きでした。ファーストコンタクトはオレンジ色(コミュニケーションを潤滑にする)、セカンド以降はピンク(信頼関係を築く)、プレゼンの際は表紙の色をイエローにしていました。「お金にしやすくなる」という理由からです。

さらに、枚数も重視されました。企画書の枚数が多すぎるので「エグゼクティブサマリーの数枚にまとめましょう!」と進言しても、「企画書数枚で受注ができると思っているのか?枚数が少なかったら熱意が伝わらないじゃないか!」と却下されます。その影響もあって、社員のパワポのテクニックは加速度的に向上していきました。

パワポのカラフルでアニメーション的な動きがプレゼンで効果を発揮したこともあります。しかし、それはキレイという以外にほとんど意味がありませんでした。