2008年―2010年の間で最も引用された上位1%の論文には、UCLA(カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校)とプリンストン大学から発表された論文がそれぞれ28編、27編が含まれていた。しかし、2021年―2023年には数学の分野でほとんど実績がなかった中国・サウジアラビア・エジプトの研究機関が上位を占めていたそうだ。

名指しされていたのは中国医科大学(瀋陽)にとサウジアラビアのキング・アブドゥルアズィーズ大学だ。3年間に数百の論文を発表し、その中で最も引用の多かった論文を多く引用していたと指摘されていた。

これに対して、クラリベートなどの調査企業やジャーナル出版会社は頭を痛めているとのことだ。大泥棒の石川五右衛門が辞世の句として「石川や 浜の真砂子は 尽くるとも 世に盗人の種は 尽くまじ」を残したという。浜の砂は尽き果てても、悪人の種は尽きないほど、悪の種は次から次と生まれてくる。論文捏造工場、論文引用カルテルなど十数年前までにはなかった非道徳的行為がモグラたたきのように続発する。「天網恢恢疎にして漏らさず」で見つかるに決まっているのだが?

正直者が馬鹿をみる社会であってはならないと思うが、道徳観が喪失する現実に悲観的にならざるを得ない。「もしトラ」が現実になると、さらなる悪夢が現実になってしまいそうだ。

編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2024年2月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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