Scienceの2月2日号に「Citation manipulation found to be rife in math」と言うタイトルの記事が出ている。科学者の評価の指標の一つとして、論文の引用(citation)回数が用いられることが多くなってきた。その指標の信頼性を根底から揺るがす事象が起きている。

一部の数学研究者がカルテルを組んで仲間の論文を引用し合い、カルテルメンバーの論文引用数を故意に引き上げている(targeted citation)というのだ。

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論文捏造工場に加えて、このような引用回数を人為的に操作するようなカルテルが横行すれば、科学に対する評価基準が失われることになる。最低限の守るべきモラルが次々に損なわれ、カオスの時代になりつつあると言っても過言ではない。

数学の分野だけでなく、他の分野でも起こりそうな(すでに起こっているかもしれないが)予感がする。科学は一歩一歩積み上げていく必要があるが、その一歩・二歩がフェイクであれば、地盤が大きく崩れ去るような事態が生ずるに違いない。